記者A:安倍総理はプーチンとの交渉に文字通り政治生命を賭けて取り組んできたといっていい。今井秘書官ら官邸の側近たちが心配しているのは、日ロの6月基本合意が難しくなってきたことで総理が精神的に折れてしまわないかという点だ。だから“ロシアがダメでも北朝鮮があります”とお膳立てして首相のモチベーションをなんとか維持させたい。
これからの新聞の紙面には日ロより日朝関係の記事が増えてくるだろう。それは国民の目をロシアから北朝鮮に向けさせるという面もあるが、情報を流す官邸側にすれば“国民が期待しています”と首相の士気を鼓舞したいという目的が大きい。それが「外交の安倍」の一面の真実でもある。
●レポート/武冨薫(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2019年3月15日号