例えば、近年、業績不振で苦しんでいる大手通販のニッセンは今年2月に、大きいサイズの婦人服EC「マロンスタイル」を完全子会社化しました。
マロンスタイルは、LL~5Lサイズまで展開する大きいサイズの女性専用アパレル通販サイト「clette(クレット)」を運営しており、業界ではサイトの作り方や商品画像の良さについては定評がありました。運営次第ではクレットはさらに強い固定客が増える可能性がありますから、ニッセンとしては妙手だったといえます。
また、メンズでもこうしたビッグサイズへの動きがあります。2017年11月には、「紳士服のはるやま」を展開する、はるやま商事が岐阜のメンズに強いビッグサイズ専門メーカー、マンチェスを買収しています。
マンチェスは創業が昭和23年という老舗のメンズに強いビッグサイズ専門メーカーです。以前に取材したこともあるのですが、独自にビッグサイズのパターン(型紙)を開発していて、名だたるカジュアルブランドのビッグサイズをライセンス生産して販売している独自のノウハウを持った企業です。
こうしたビッグサイズやトールサイズへの各社の取り組みに比べて、スモールサイズへの取り組みは聞こえてきません。もちろん、皆無ではありませんが、あまり話題に上っていないというのが実情だと感じます。
これらイレギュラーサイズの問題を眺めていると、現時点ではやはり強いのはユニクロだという結論に達します。ネット通販ではXSから4Lまでの8サイズを展開しています。ユニクロのネット通販はすでに単体で600億円を越える大きな売上高に達しており、その理由はさまざま考えられますが、サイズ展開の豊富さも一因ではないでしょうか。
いま、男性の平均身長は171cm程度で、平均サイズはそれに準じて作れているため、メンズのスモールサイズの需要は切実なのではないかと思いますが、こちらはほとんど聞いたことがありません。本来なら、計測できるゾゾスーツがその需要を取り込みたかったのでしょうが、計測精度の低さと度重なる大幅な納期遅れによってほぼ停滞してしまっています。