女性のほうはまだ男性よりはスモールサイズ対応はマシではないかと思いますが、それでも「Sサイズでも大きい」という人がいるのも事実です。レディースでも、例えば名古屋に本社があるレディースアパレルのジュニアーが「リリアンビューティー エクラ」というSサイズブランドを展開するなど積極的に取り組んでいる企業はありますが、ビッグサイズ・トールサイズに比べると圧倒的に少ない気がします。
スモールサイズの展開がビッグサイズ、トールサイズに比べて少ないのは、さまざまな理由があると考えられますが、じつは衣料品業界でも統一した見解を聞いたことがありません。個人的には、スモールサイズの人口がビッグサイズ人口よりも少ないため、需要や売り上げが見込みづらいからではないかと思います。
それではスモールサイズの女性はどうしているのかというと、中には子供服を購入している人も多いようです。実際、知人の40代女性はこう話します。
「私は身長が150cmで体重は40kg代前半ですが、いつも洋服は婦人用のSサイズでも大きいため、子ども服のフロアも物色します。ユニクロやしまむらなどの店舗で選んでも子ども用の150cm、160cmサイズでぴったり。でも、子ども向けだけにデザインや好みが合わないことも多く、悩みの種です。
最近は小さい人用のスタイルブックなども出ていて、GAPやZARAなどのファストファツションブランドでは親子がペアルックで着られるように、大人でも着られるデザインの子供服も売られていますが、なかなか好みの洋服を見つけるのは大変です」
確かに、子供服はサイズ展開が広く、男児ブランドなら170cmまで展開しているものもあります。大人と子供では体型が異なりますから当然パターン(型紙)も異なりますが、それでも子供服を選ぶスモールサイズの女性は意外に多いのです。
また、スモールサイズではない女性でも「大人服よりもデザインがかわいい」という理由で160cmや170cmの子供服を選ぶ場合もあります。これに類似した例では、ボーイッシュな服が着たいという理由で大きいサイズ(140~170cm)の男児服を選ぶ女性も昔からいました。
それなら、通常のメンズ服のSサイズを選べばよいのではないかと思ってしまいますが、成人男性の体格は背が低くても肩幅が広く厚みがありますから、Sサイズでも女性が着るとダボダボ感が強調されてしまいます。しかし、男児の体型は背が高くても肩幅が狭くて厚みが薄いので、まだ女性に適しやすいといえます。
いずれにしても、現在ビッグサイズ・トールサイズへの取り組みが活発に始まっているように、今後はスモールサイズへの取り組みが各社で始まってもおかしくないと見ています。こちらもビッグサイズ同様に適していると思えば強力なロイヤルカスタマーになることが見込めます。人口やニーズは少ないかもしれませんが、取り組むべき市場ではないかと思います。