スポーツチームのファンやサポーターの例でいえば、試合の後に、街中でさまざまな騒ぎを起こしたりする。ヨーロッパのサッカーで、フーリガンなどと呼ばれて問題になった行為だ。スポーツチームよりもっと大きく、民族や国民といったレベルで集団意識に火がつくと、紛争や戦乱の発端となる恐れもある。
それでは、こうしたバイアスに陥った場合には、どうしたらよいだろうか。一度、集団という枠を取り払って、一人ひとりが個人に立ち返る機会を設けることが有効だろう。
「実際のところ、自分はこのチームのどこが好きなのか?」
「本当に、あの集団のメンバーは、みんな同じような人たちなのか?」
「いまの集団に属すること自体が、目的になっているのではないか?」
このように一歩引いて、冷静に考えることができれば、バイアスから抜け出すきっかけになるはずだ。
集団が好ましい効果をもたらすのであれば、集団を形成する意味がある。しかし、集団をつくることによる弊害が見え始めたら、いちど集団から抜け出して、個々に立ち返ってみる。そうした柔軟さが必要といえるだろう。
日本では、今後、さまざまな国際的スポーツイベントが目白押しだ。熱の入った応援が、いつの間にかバイアスに変化しないように注意する必要があると思われるが、いかがだろうか。