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2019.03.10 05:03  産経ニュース

寿命伸びるも金融資産は微増 “お手本”米国は3倍

寿命伸びるも金融資産は微増 “お手本”米国は3倍


 金融庁が高齢者への「投資のススメ」という新たな施策に打って出るのは、日本人の金融資産が20年前からほとんど増えていないという危機感がある。退職金は減少傾向で公的年金の支給開始時期も後ろ倒しとなるなど、老後に手にできるお金は減少している。従来のように年金を受け取りながら、ためたお金を取り崩すという考えから、投資で資産を増やし“資産寿命”を延ばすことで、平均寿命の延びに合わせるという発想の転換が求められている。

 「このまま平均寿命だけが延び続ければ、老後にお金が足りなくなる可能性がある」。金融庁の幹部はそう懸念をあらわにする。

 厚生労働省によると、日本人の平均寿命は延び続けており、2017(平成29)年には男性が81.09歳、女性が87.26歳と過去最高を更新。現在60歳の人の約4分の1が95歳まで生きるとみられている。

 寿命が延びれば、老後に必要なお金も増える。しかし、金融庁によると2014(平成26)年の70歳以上の1世帯あたりの平均金融資産は2059万円。この人たちが50代だった20年前に所有していた金融資産は平均1509万円で、36%しか増えていない。米国の高齢者が金融資産を20年間で3倍近くに増やしているのとは対照的だ。

 金融資産が増えない要因の一つが、5割を超えるとされる現預金の割合の高さだ。現預金は使わない限り減ることはないが、近年の低金利環境では大幅な増加も期待できない。一方の米国は1割程度といい、残りを株式や投資信託、生命保険などの金融商品にバランス良く投資しており、この違いが老後の金融資産の差につながっているとみられている。

 老後に毎月受け取れる年金は厚生年金で平均15万円、国民年金で平均5万円程度だ。仮に、持ち家がない人が、都市部の賃貸マンションに住んで月十数万円の家賃を払っていれば、食費などを考慮すると自由に使えるお金は少ない。これまで不足分は資産の取り崩しや、働くことで補ってきたが、金融庁が推奨するのは「投資してお金に働いてもらう」(同庁幹部)という発想だ。

 その際に注意すべきは1つの金融商品に全額投資するのではなく、異なる金融商品を組み合わせ、投資時期も数年かけて分散することでリスクを最小化することだ。金融庁の担当者は「長期で分散投資をすれば、ほとんどのケースでプラスになる」と話している。(蕎麦谷里志)

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