それぞれツッコミどころが満載なのに、各局横並びで、問題の本質がいまいち分からない。全ての事象には原因と結果があります。誰がなぜ、どうやったのか。もっと掘り下げてほしい。
当時の『ニュースステーション』が厚労省の統計改ざん問題を報じたなら、数式を出して、どこをいじったのかを解説するでしょうね。
少なくとも私や久米さん、『ニュースステーション』のみんなは、強いものに抗っていくのも仕事のうち、そこに醍醐味があることを自覚していました。
政治家のデフォルメ人形をスタジオに用意したのもそう。橋本龍太郎さんの人形が後ろに倒れたら、久米さんが、「やっぱり橋本さん、ふんぞり返りすぎですね」なんて揶揄する。
ウィットに富んでいたし、創意工夫を凝らして、あらゆる問題を深く掘り下げようとしていました。いまはそういうのは難しいのかな……。「あれ、このニュースもう終わっちゃうの?」と思うことも少なくないです。
確かにメディアが多様化して、テレビでニュースをどう料理するか、難しい時代ではあります。それでも、もう少し“ニュースに執着する”姿勢があってもいいんじゃないかな。
『ニュースステーション』を通じてニュースに恋した小宮悦子として、これだけは言いたいです。
※週刊ポスト2019年3月29日号