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2019.03.26 11:00  介護 ポストセブン

ベテランケアマネは見た!介護がうまくいく家族、いかない家族の実例

介護がうまくいくためにはどうすればいいのだろうか(写真/時事)


 介護は、家族やケアマネジャー(以下、ケアマネ)が一丸となって取り組まなければならない難題だ。そのバランスが崩れれば、必ずどこかに軋みが生じる。

 介護がうまくいく家族、うまくいかない家族―その違いはどこにあるのか。

 ベテランのケアマネが現場で間近に見てきた実例から手がかりを探る。

◆最初から「できない」と諦めない

 脳梗塞の後遺症で言語障害が残った70代男性の例だ。

「カラオケが趣味だったので、ケアプランの目標を、“町内会のカラオケ大会に出る”としました。しかし、障害により発声はおろか、読み書きにも影響が出始めていた。当初は家族も“無理だろう”と諦めていた。ですが、本人の熱意にほだされ、“おじいちゃんがそこまで言うなら、家族も総出で必死に応援します”と私に申し出てくれた。そこで私は毎週の訪問リハビリに言語聴覚士をコーディネートし、あえて負荷の高いリハビリを行なうようにしました。リハビリがない日も、家族は男性の発声練習を代わる代わる手伝っていたようです。その頑張りもあって、男性はカラオケ大会に出場できるまでに発語が回復しました」(ベテランケアマネジャー)

 このケースは、家族が要介護者の希望をよく理解し、しっかりサポートしたことで良い結果につながった例といえる。

◆「介護は私がやる」ではいけない。任せることは任せる

 逆に、家族の責任感や義務感が、裏目に出てしまうケースもある。

「ひと昔前は、介護といえば嫁や妻、娘など女性が担うケースが多かった。近年は息子や夫など、高齢男性が介護の担い手になるケースも多くみられます。

 そういった場合、入浴や食事の介助といった、本来はヘルパーの役割も、すべて自分でこなそうとする人もいる。それが肉体的な負担になってしまい、介護疲れや介護うつにつながるケースもあります。私が知るあるケースでは、80代の母親の介護をする息子さんが、ケアマネからの提案を“それは私がやるからいい”とことごとく拒み、1年もたたないうちに自分も過労で倒れてしまった。プロに任せられるところは任せるというのは、決して介護を投げ出すことではないのです。その分の労力を、むしろ介護を受ける人の希望を聞いたりすることに傾けるといいでしょう」(同前)

◆施設への入居を前向きに捉える

 特別養護老人ホームなどの施設に入居させることを介護放棄のように捉え、何が何でも自宅介護を続けようとする人もいる。

 だが、施設に入れることに負い目を感じる必要はないという。

「働きながら母親の介護を続けていた50代の女性が、要介護度があがったことをきっかけに介護離職したことがありました。一般的には施設入居を検討すべき状態でしたが、“自宅で世話をする”と頑として聞かない。1人での介護は手が回りきらない上、仕事を辞めたので家計が厳しくなり、大変な毎日を送っていたようです。結果的に施設に入ることになったのですが、介護されていた母親は低栄養状態に近く、女性も慢性的な体調不良を訴えていました。自分の介護のために子供が疲弊していくのを見せられることは、親にとっても大変苦しいことです」(同前)

◆要介護の親だからこそ積極的に外と交流させる

 80代前半で、軽度の認知症のある女性は、裁縫が得意で小さなぬいぐるみを作っていた。

「手先を動かすのは脳を働かせるのにも効果的ですが、増える一方のぬいぐるみに家族も“置き場所がない”と悩んでいた。そこで、地域の保育園に掛け合って、子供たちにぬいぐるみをプレゼントする場を設けたんです」

 認知症で要介護状態というと家族は“表に出せない”という考えに陥ってしまいがちだ。しかし、社会と交流する場があれば、生活にハリが生まれる。

「園児から“おばあちゃんありがとう”と絵手紙をもらうこともあり、その女性は今でもぬいぐるみ作りを続けています」(同前)

◆いいわいいわはだめ、時には「NO」と言う勇気を

 家族が病やケガに苦しむ親の希望を叶えたいと思うのは当然のことだが、「なんでも好きにやらせてあげたい」となってしまってはいけない。

「奥さんと死別した70代の男性が、転倒して足を骨折し、入院したことがありました。介護が必要な状態になりましたが、本人は“自分でできる”と介護サービスの利用を拒否。娘さんは、“本人の希望に沿うようにしてあげたい”と父親に同意したんですが、どちらかと言うと、“言っても聞かないから”と、諦めているようにも見えました。結果、その男性は自宅の階段から転落。顔などを強打し、寝たきりの状態になってしまった。“本人の意思を尊重する”という耳触りのいいフレーズは、裏を返せば思考停止しているだけで、結局本人のためにはなりません。介護の現場では時に、冷静な判断で、家族が“NO”を言わなければならないこともある」(同前)

 介護は一人で抱えず、まずはケアマネという介護の司令塔のような存在に相談することが大切だ。ケアマネとよりよい関係を築くことも介護がうまくいくための重要なポイントになる。

 ケアマネの決め方は以下の記事を参考にして!

●ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割と選び方|ケアマネをどう選ぶかで介護は変わる

●ケアマネの見つけ方「支援事務所」「前歴」がカギ 交代もあり

●ケアマネジャーってどのような存在?<2>【プロが教える在宅介護のヒント】

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