特に大規模修繕は巨大な金額が動く。例えば200戸のマンションの大規模修繕工事なら予算の目安は2億円だ。その1%が理事長にキックバックされる仕組みを作れば、その額は200万円だ。管理会社もそういうことにはなれているので、バレないようにリベートを支払うなどということは朝飯前だ。
分譲マンションの管理組合というのは1962年にできた区分所有法でその運営手法などが定められているが、この法律、制度疲労が甚だしい。
そもそも、そういう悪事を働く理事長の出現を想定していない。だから管理組合の理事長になって私腹を肥やそうと思えば簡単に出来てしまう。悪徳理事長にとって大規模修繕ほど美味しいイベントはないのだ。そこで一気に何百万円、あるいは1000万円以上のお小遣いを稼げてしまう。
さらに近年では、管理会社の紹介などで大規模修繕の設計・監理(チェック)を外部コンサルタント(大手設計事務所など)に依頼するケースも増えているが、中には施工会社に高い工事費で請け負わせ、多額のリベートを受け取る悪質コンサルタントの存在も指摘されている。
さまざまな陰謀も渦巻くマンションの大規模修繕。すべてがそうでないにしろ、これが日本の分譲マンションを取り巻く悲しい現実のひとつだ。
「大規模修繕は時期が来たら必ずやらなければならない」と管理会社や管理組合、コンサルタントなどに丸投げするのではなく、まずは修繕工事の必要性や金額の妥当性などについて、住民みながしっかりと話し合うことが必要だろう。