◆中高年世代に忍び寄る「根面う蝕」リスク

 歳を重ねることで、新たに生まれるリスクについて知っておきたい。若い時よりも歯が長くなった、と感じることはないだろうか?

 それは、強いブラッシングや加齢によって歯肉が下がってしまったことが原因。本来、歯肉に隠れている歯の根面は「象牙質」なので、虫歯になりやすい。ここが虫歯になることを「根面う蝕」という。

「根面は、pH6.5くらいで脱灰(溶ける)しますので、虫歯ができやすい。対策は、基本的にブラッシングと歯間ブラシ。そして、フッ素入り歯磨き剤で、フッ化物をきちんと供給して、再石灰化を促すことです」(杉山氏)

 フッ素による虫歯予防の有効性は、科学的にも立証されている。ただし、「急性中毒、発がん、ダウン症」等の原因だとして抵抗感を示す人もいるが、因果関係を証明するものはない。

「歯科医でも、フッ素を使うのはよくないと考えている人がいます。でも、フッ素入り歯磨き剤の効果は大きい。もちろん過剰使用はダメで、用法・用量を守れば安全です」(杉山氏)

 歯磨き後は、しっかり口をゆすぐのが常識だったが、現在メーカーでは、フッ素成分を口中に残すために、1回だけ軽くゆすぐように指導している。

 患者自身が常に最新の知識を学ぶことが、歯を守るためには必要なのだ。

●レポート/ジャーナリスト・岩澤倫彦(『やってはいけない歯科治療』著者)

※週刊ポスト2019年4月5日号

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