近年、三菱自動車と同様に、フロントマスクのデザインを統一するメーカーが増えてきた。
トヨタでは、細目の鋭いヘッドライトとV字に切れ上がったグリルが特徴の、キーンルック。レクサスは、台形を上下に配置したスピンドルグリル。日産自動車は、グリルにV字型のメッキパーツを多用した、Vモーショングリル。さらにマツダは、顔の部分だけでなくクルマ全体に統一コンセプトを持たせた、魂動デザインを採用。海外メーカーでは、左右に2つ並んだフロントグリルを持つ、BMWのキドニーグリルがよく知られている。
この中でBMWは別格として、車種ラインナップの統一感を最も強く打ち出しているのがマツダだ。
マツダの軽自動車はOEM供給してもらって自前のモデルはなく、箱型でデザインが差別化しにくいミニバンからも撤退。主力のSUVを軸にハッチバックやセダンタイプのクルマに絞り込み、独特のソウルレッドをイメージカラーに、さまざまな車種を一堂に会して“群れで見せる”という世界観を打ち出している。
昨今は、マツダを筆頭に「同じような顔で飽きる」と消費者にネガティブに見られるリスクより、「一目でどのメーカーのクルマかがわかる」と、ポジティブに捉えて、その個性に共感してくれる人をつかまえたいという考え方を優先する傾向が、かつてよりも強くなっているということだろう。
三菱自動車では、前述の「ekワゴン」「ekクロス」合わせた月販目標は4000台だが、
「半分以上は『ekクロス』のほうで売っていく計画。広告宣伝も強化し、新しい顧客をつかみたい」(執行役員国内営業本部長の深澤潔氏)と、「ダイナミックシールド」採用車種のほうを全面に打ち出していく方針だ。