田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国は新元号「令和」をどう解釈したか

新元号「令和」について中国はどう見ているのか(写真:JMPA)

 新元号「令和」に関して、世界ではどう受け止められているのだろうか。新元号発表直後、令和の翻訳をめぐって各国ではまちまちの報道がなされたことは、記憶に新しい。

 ブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャーナルなどでは、“Auspicious Calm”(幸先の良い平穏)、イギリスメディアのガーディアンは“Fortunate Harmony”(幸運の調和)、アメリカのAP通信社は“Pursuing Harmony(調和の希求)”などといった英語訳を当てている。一方、ニューヨークタイムズは“Order and Peace(秩序と平和)”、イギリスのBBCは“Order and Harmony(秩序と調和)”などといった訳を当てている。

「令」をAuspicious、Fortunateと訳してもらうのは良いとしても、Orderと訳すと命令の意味に近く、政府の思いが誤って伝わってしまう。こうした混乱に対して外務省は3日、令和を“Beautiful Harmony(美しい調和)”と説明するよう在外公館に指示している。

 漢字を使わない英語圏ではこうした混乱が起きても仕方がないだろうが、漢字の母国である中国では同じような間違いは起きにくい。多くのメディアが、「令和は万葉集第五巻、大伴旅人による“梅花之歌”が典拠であり、“初春令月、気淑風和”から二文字を取ったものである」などと説明している。

 英訳では混乱を招いた「令」について、ある中国メディアの説明を示しておくと、令月を“吉月”としており、“可喜可賀”、“美好”に近いが少しニュアンスが違うなどと細かく説明している。

 ただし、「令といった字は美しい、吉祥などといった意味もあるが、命令、指令と理解されてしまいやすい」という指摘が日本で出ていることも紹介しており、実際、1864年に令徳が新元号の草案として上がったものの、徳(川)に命令すると解釈できるといった理由で江戸幕府が拒否したことも伝えている。

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