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2019.04.17 17:00  マネーポストWEB

金融機関は勧めてくれない「米国債」、そのメリットと始め方

高い利回りを誇る「米国債」の実力とは?(米財務省。AFP=時事)

 老後資金を貯めるための資産運用には、多くの人にとって、絶対に譲れない3つの条件がある。

【1】コツコツと稼いできた大切な虎の子だから、投資で損して減らしたくない
【2】短期的に増やす必要はない。でも、20~30年ぐらいの長期的なスパンで大きく増えてほしい
【3】「あの株がいい」「この投資信託はダメ」など頻繁に資産運用を見直さなければいけないのは面倒。ずっとほったらかしで大丈夫な方法がいい

 実は、それらの条件にピッタリの投資法があるのに、なぜか世間ではほとんど知られていない。

「それは、世界のトップ投資家や富裕層にとっては、持っていて当たり前の商品です。さらに言えば、日本や中国の財務省のように国家財政を司る公的機関も、大量に保有しています。

 それが何かを一般の人が知らないのは、銀行や証券会社などの金融機関が“それに投資してはどうですか?”と積極的に勧めないからです。手数料を取れる株や投資信託を買ってもらわないと、金融機関も儲からないですからね。

 安全に、そして着実に、老後資金としてお金を増やしたい人にとって、『米国債』こそ最良の手段なんですが、ほとんど知られていません」

 そう話すのは、『証券会社がひた隠す米国債投資法』(KKベストセラーズ)の著者で、かつて米ゴールドマン・サックス証券で債券営業に携わっていた杉山暢達さん(現ゴールドハーツ代表)である。

 突然「米国債」といわれても、よくわからない人も多いだろう。そもそも「国債」とは、国(政府)が社会保障費や公共事業などを賄うのに足りない資金を調達するために発行する「債券(借用証書)」のこと。「国債を買う」ということは、つまり「国にお金を貸す」ということだ。日本政府発行の借用証書なら「日本国債」、アメリカ政府なら「米国債」となる。

 発行国が破綻しない限り貸したお金が返済されないことはなく、国の信用度にもよるが、株や投資信託などの他の金融商品よりも安全性は高い。中でも、世界一の大国であるアメリカなら、30年後でも国が破綻することは考えにくい。とはいえ、なぜ日本国債ではなく米国債なのか。

「まず1つ目に、国の信用度でいえば、昔から『アメリカがくしゃみをすると日本は風邪を引く』いわれるように、仮にアメリカ経済が傾くようなことがあれば、先に日本経済が危機的状況に陥っているでしょう。

 2つ目は、何といっても金利が高いこと。国債は、一般的に満期が長いほど金利が高くなりますが、日本国債(個人向け)の金利は年数にかかわらずたったの0.05%。一方、米国債の金利は10年満期で2.5%前後、30年満期で2.9%前後です(4月4日時点)」(杉山さん・以下同)

◆満期まで利子がつかない「ゼロクーポン債」の魅力

 米国債は大きく分けて、定期的に利子を受け取れる「利付債」と、満期まで利子がつかない「ゼロクーポン債」があるが、杉山さんは後者を推す。

「ゼロクーポン債は、運用中に利子がつかない代わりに、満期までの利子相当分があらかじめ差し引かれ、その分購入時に安く買えます。

 さらに、購入した時点で満期までの利回り(利益率)は確定しているため、満期で受け取る金額も決まっており、償還(借金の返済)時にはまとまった金額を受け取れて、年金の上乗せにつながる商品なのです。

 また、利子を途中で受け取らないため、満期までの利子が雪だるま式に膨らむ『複利』効果が得られるため、長期運用に最適といえます」

 その投資効果はどれほどか。たとえば、500万円を利回り2.8%のゼロクーポン債で運用した場合、30年後には倍以上の約1144万円になり、増えたお金は、実に644万円にもなる(為替変動は考慮せず、グラフ参照)。実際には、30年満期のものが販売されていることは少なく、なるべく30年に近いものを購入することになり、受け取る時に税金を考慮する必要があるが、資産が2倍以上になる投資効果は大きい。

 多くの運用商品は将来受け取る金額が確定していないのに対し、米国ゼロクーポン債は満期まで持っていれば額面通りの金額を受け取れる。つまり、「事前にいくらもらえるのか」が見えており、「この先、増えるかどうか」と気をもむ必要がないのだ。

 また、満期までの期間が長くなるほど「購入単価」が安くなり、10年満期のものと30年満期のものでは、金額に大きな差が生まれる。その点から見ても、長期で運用する老後資金づくりに向いている。

「証券会社によっては、1000ドル(約11万円)からと、大きな元手も必要ありません。運用している間は、株や投資信託のように『売買手数料』や『信託報酬』といった余計なコストもかからないので、長年ほったらかしでも大丈夫です」

 現在、預金や保険など、多くの人が財産のほとんどを日本円で保有している。だが、杉山さんは、大きなリスクをはらんでいると話す。

「資産すべてを日本円だけで持つのは危険です。なぜなら、将来長きにわたって日本円の価値が下がらないとは誰にも断言できないからです。自国通貨だけでなく、貯金の一部を米ドルに分散させておけば、資産の防衛度は格段に上がります」

◆長期的に円安になればさらにお得

 米国債にもデメリットはある。最大の心配は「為替」だ。米国債はドル建てであるため、為替が購入時より「円安」になれば、最終的に受け取るお金は増える。しかしその半面、満期の償還時、急激な「円高」になれば、元本が目減りする可能性もありえる。「円安=得」「円高=損」のリスクに晒されているのだ。

 現在アメリカでは、米国債の金利を左右する「政策金利」を引き上げる(利上げ)か、引き下げる(利下げ)かが焦点となっている。しかし、年初からの米中の貿易摩擦や英国のEU(欧州連合)離脱など、為替相場を大きく揺るがすニュースが次々と起き、この3月に、当面は金利を据え置く方針を明らかにしたばかりだ。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也さんはこう予測する。

「結論からいえば、向こう数年は、アメリカの政策金利は利下げに向かうと予想されます。金利が下がれば、投資家にとって米ドルの魅力が減少するためドルが売られ、『ドル安・円高』となる要因になります。

 ただ、為替は最終的に『国力』が反映されます。長い目でみれば、人口減や少子高齢化など、さまざまな課題を抱える日本の円が売られ、1ドル=150円以上の円安になってもおかしくないでしょう」

 証券アナリストの村田雅志さんも「ドル・円相場は、長期的には1ドル=200円を超えるような円安もありえる」と言う。

 遠い将来まで確実に見渡すことは不可能とはいえ、長期的には円安も見込めれば、それだけ得することになる。

 では、どうやって始めればよいか。まず米国債を取り扱う証券会社に口座を開設する必要がある。『証券会社がひた隠す米国債投資法』(KKベストセラーズ)の著者で、かつて米ゴールドマン・サックス証券で債券営業に携わっていた杉山暢達さん(現ゴールドハーツ代表)は、こう語る。

「安心感を求めるなら、やはり野村證券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券といった大手証券が有力です」(杉山さん)

 日本円の口座以外に、ドルを置いておける口座も必要だ。2つの口座開設後、日本円を送金し、ドルを購入後に希望する米国債の種類と購入金額を証券会社に電話で伝えるだけで手続きは完了する。

「米国債は、中途解約もできますが、30年先の老後資金を見据えるなら満期まで持つのが鉄則。為替相場は刻々と変動するため気を取られがちですが、目先の変動に振り回されず、大きく構えて持っていればいい」(杉山さん)

 検討する価値はあるかもしれない。

※女性セブン2019年4月25日号

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