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2019.04.19 06:00  介護 ポストセブン

介護者が病気になったら|無理をしないために備えておきたい3つのこと

介護者が体調を崩してしまったら…(写真/アフロ)

 盛岡で一人で暮らす認知症の母を、東京から遠距離で介護している工藤広伸さん。祖母や父の介護や介護離職の経験もある。介護家族ならではのアイディアや情報、心構えなどをブログや書籍で発信中だ。

 当サイトの連載「息子の遠距離介護サバイバル術」では、“しれっと介護”をモットーとする工藤さんの介護心得を教えてもらう。今回のテーマは「介護者が体調を崩したら…」。

 介護している人が病気になったり、ケガをしたりすることもあるにちがいない。そんなとき、途方に暮れないために、今からできる準備、心構えはなんだろうか?

 亡くなった祖母や父、母の遠距離介護をしている最中に、介護者であるわたしが風邪をひいたことがありました。

 介護者側が病気やケガをすると、自分自身の治療と同時に、誰が被介護者の世話をするのかという問題に直面します。介護者が倒れてしまったとき、どのように対処すべきか、今日は3つの方法をご紹介します。

◆介護保険サービスをしっかり活用する

 1つ目は、介護保険サービスをしっかり活用しておくことです。

 我が家では、もしわたしがもし倒れてしまったとしても、母はひとり自宅で生活できると思います。認知症のお薬は、訪問看護師さんが定期的に届けてくれますし、食料品や日用品などの買い物はヘルパーさんがやってくれます。週2回はデイサービスに行って、他の利用者さんと交流できますし、難病が原因で起こる手足の筋力の衰えは、理学療法士さんがリハビリをしてくれます。

 問題になりそうなのが、ものわすれ外来への月1回の通院です。母の通院介助は、わたしの仕事ですが、付き添いができない場合は、医師が母の家を訪問して診療する、訪問診療に切り替えるつもりです。

 介護者がギックリ腰などで自宅から動けなくなってしまった場合は、被介護者をショートステイなどに一時的に預けるといいと思います。また、たんの吸引、点滴など医療管理を行っているご家庭は、一時的にレスパイト入院させるという方法もあります。

→関連記事:ショートステイを賢く利用するコツ<1>

→関連記事:ショートステイを賢く利用するコツ<2>

 介護する側は介護保険サービスを利用したくても、被介護者が他人を自宅に入れたくない、他人の世話にはなりたくないなどの理由から、サービスの利用を拒むことがよくあります。しかし、サービスを利用しないまま、介護者が病気やケガになってしまったら、それこそ共倒れになるリスクもあります。

 介護者がいつも元気で介護できる保証はないということを、被介護者に伝えることで、介護保険サービスを利用するようになってくれるかもしれません。

◆介護者は自分の病気やケガの治療に専念できる環境を整える

 2つ目は、被介護者を安心させるためにも、まずは介護者自身が病気やケガの治療に専念できる環境を整えるといいと思います。

 わたしの場合は、盛岡から離れ、自宅のある東京へ戻ります。介護が必要な母と生活を共にしていては、母の介護が気になって、自分の治療に専念できないからです。

 母は息子の状態を心配して「熱は下がったの?」「病院は行ったの?」「お薬は飲んだの?」と、何度も何度も質問してきます。わたしが元気なときなら、母の心配もうれしいのですが、弱っている状態で繰り返される心配は、ストレスでしかありません。

 こういった経験から、わたしは自分が病気やケガをしていたとしても、母には絶対に伝えないようにしています。

 また、自分の風邪を母に移してしまう可能性もあります。わたしの熱が下がったあとで、母も倒れてしまうことが何より心配ですが、加えて、病み上がりの看病が原因で、自分がまた倒れてしまうかもしれません。そのため、いったん距離を置いて、自分の病気やケガの回復に専念するようにしています。

◆家族や親族の中でサブ介護者を決めておく

 3つ目に、家族や親族の中で、サブの介護者を決めておくことです。

 母の医療や介護の体制は、すべてわたしが家族代表として窓口となりました。岩手に居る妹はサブの介護者と決めていて、わたしに何かあった場合は妹がメインの介護者になります。

 介護者は身体的な介護だけではなく、病院や介護施設とのやり取りが多く発生します。もし家族の代表であるメインの介護者が不在になると、サービスの手続きや支払いなどが滞ってしまい、母も医療や介護を受けられなくなる可能性もあります。

 また、母の認知症が進行して、今のケアプランを見直す時期が必ず来ますし、介護施設を利用することもあるかもしれません。本人が判断できない可能性もありますので、その場合は妹に、家族代表として窓口になってもらいます。

 妹にはすぐにでも、母の介護保険サービスや通院についての説明をしてもいいのですが、大学生の娘と中学生の息子の子育てで大変な時期です。息子が大学に進学して、子育てが一段落した頃に、わたしの窓口としての役割を説明するつもりです。その前に何かあった場合はケアマネジャーを頼るようにと、伝えています。

 わたしの妻が、嫁の立場でサブ介護者になったらいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、その予定はありません。現時点でも、妻はわたしの介護にはノータッチですし、今後も手伝ってもらう予定はありません。

 妻にも離れて暮らすお義父さんがいますし、そちらの介護が始まる可能性もあります。わたしはお義父さんの介護を手伝うことができないので、自分の親は自分で見るという話になっています。

 被介護者の体調ばかりに気を取られがちですが、介護者自身の体調が一番大切です。自分の身に何かあってからでは遅いので、これら3つの対処法を検討してみてください。

 今日もしれっと、しれっと。

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◆工藤広伸(くどうひろのぶ)

祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士、なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(https://40kaigo.net/)

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