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コラム

2019.04.19 16:00  マネーポストWEB

高齢者の強い味方「国から戻ってくる医療・介護のお金」一覧

「医療・介護のお金」はこんなに戻ってくる

 総務省の「家計調査」(2018年)によれば、〈60~64歳〉の月間消費支出は30万4601円だが、年代を追うごとにその額は減っていく。〈65~69歳〉では28万1053円、〈70~74歳〉では、25万8425円、さらに後期高齢者の年齢に達する〈75~80歳〉では23万9587円となる。60代前半と70代後半では毎月6万5000円以上も違い、支出は2割減となるのだ。

 であれば、年金を「繰り下げ受給」をすることなく60代のうちからもらっておいた方がいい、と考える人も少なくないだろう。定年後の「支出」を確認していくと、“70代以降はお金がかからない”ことが明らかになるだけに、その論がさらに強固になるかもしれない。一方で、“医療費や介護費がかさんでくるのではないか”と心配する人も多いはずだ。

 健康的な日常生活を送れる「健康寿命」の平均は、男性72.1歳で女性74.7歳。70代に突入したら、日常生活に支障が出るような病を患うケースも少なくない。

 厚労省が作成した「年齢階級別1人当たり医療費」(平成28年度)によると、70~74歳の1人当たりの年間医療費は約62万円に達し、65~69歳(約46万円)から16万円も増える。

「やっぱり繰り下げ受給したり、厚生年金に長く加入して、70代でもらえる年金を少しでも増やしたほうがいいんじゃないか」──と思ってしまいそうになるが、過度に心配する必要はない。

 ここで挙げた年間の医療費はあくまで国の負担を合算した金額で、患者が支払う自己負担額とは異なる。

 前出の厚労省資料によると、医療費の自己負担額は65~69歳で1人当たり年間約23万円だが、70~74歳で約18万円、75~79歳で約14万円まで下がり、以降は100歳を超えるまで12万~14万円で推移する。70代以降はむしろ自己負担額が減少するのだ。

 加齢とともに医療費が上がるのに自己負担額が減るのは、公的扶助が充実しているからだ。その具体例を一覧表にした。

◆介護にも公的扶助はある

「70~74歳までの一般的な年金生活者の医療費の自己負担割合は2割で、75歳からは『後期高齢者医療制度』によって1割負担となります。“手術や入院となれば費用がかさむのでは”との心配もあるでしょうが、『高額療養費制度』を利用すれば、医療費が上限を超えた場合は、超過分が払い戻される。住民税非課税世帯の70歳以上の年金生活者の場合、医療費がいくらでも自己負担額は月額2万4600円までに抑えることができます」(ファイナンシャル・プランナーの丸山晴美氏)

 介護にも様々な公的扶助がある。要介護認定を受けて介護保険サービスを利用する場合、利用者の自己負担は1割(一定以上の所得がある場合は2割、または3割)で済む。加えて、「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用すれば、1年間に夫婦で支払った医療費と介護費の利用者負担の合計が一定額を超えると超過分が戻ってくる。一般的な年金生活夫婦(70歳以上)なら、年間支払額の上限は56万円となる。

 国民年金、厚生年金に加入中の大病なら「障害年金」が受給できる場合もある。「年金博士」として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。

「手足に障害が残るようなケース以外に、抗がん剤の副作用による倦怠感やうつ病などの精神疾患でも、一定の条件を満たせば受給が認められることがある。定年後も一定の条件を満たせば65歳未満なら『障害基礎年金』が、再雇用などで厚生年金に加入中なら『障害厚生年金』を受け取れます」

 定年後の医療費を抑えるにはこうした公的扶助を賢く利用する必要がある。

「これらの制度を利用するためには、自ら申請しなくてはならないケースが多い。行政や医師が教えてくれないこともあるので、利用者が自分で制度の基礎を知ることが大切です」(丸山氏)

 不明な点があれば、かかりつけ医や役場に問い合わせることが肝要だ。高齢になってからの医療費や介護費が心配だからといって年金を「切り詰める」「繰り下げる」という“対策”は正しいとはいえないのだ。

※週刊ポスト2019年4月26日号

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