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2019.04.23 07:00  マネーポストWEB

世界では「絶滅危惧種」、日本のサラリーマンの特殊性とは

日本のサラリーマンの特殊性とは(イメージ)

 2019年4月から残業規制などが盛り込まれた「働き方改革」関連法が施行された。だが、いくら安倍政権が旗を振れども、肝心の日本のサラリーマンの士気が向上しているような話はトンと聞こえてこない。なぜか。

 最新刊『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』(PHP研究所刊)で、年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行が機能不全に陥っている実態を解き明かした作家の橘玲氏は、日本のサラリーマンが置かれている不合理な状況を、こんな形で目の当たりにしたという。

「私が先日、『日本の生産性が低いのは、日本人が合理性を憎んでいるから』とTweetしたところ、すごい反響で、あっという間に200件近いコメントがつきました。それも『炎上(批判)』ではなく、そのほとんどが『自分はこう考えている』といった意見でした。さらに、それらのコメントをTogetter(トゥゲッター)にまとめたところ、今度はそこに250件を超えるコメントが寄せられました(https://togetter.com/li/1332708)。

 ここから見えてくるのは、多くのサラリーマンが職場の不合理な慣行や働き方に不満を抱えながら、なかなかそれを変えられないまま苦しんでいる姿です。そんな彼ら/彼女たちが私のTweetを見て、『これって言っていいんだ』と、自らの思いを吐露したのではないでしょうか」(橘氏・以下同)

 多くの人が、「いまの働き方はおかしい」と感じているなか、あらためて幸福な人生を手に入れるにはどのような働き方を目指すべきなのか。

 橘氏は、『働き方2.0vs4.0』で「働き方」について次のように定義したうえで問題提起する。

・働き方「1.0」=年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行
・働き方「2.0」=成果主義に基づいたグローバルスタンダード
・働き方「3.0」=プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型
・働き方「4.0」=フリーエージェント(ギグエコノミー)※組織に所属しない働き方
・働き方「5.0」=機械がすべての仕事を行なうユートピア/ディストピア

「安倍政権が進める『働き方改革』とは、働き方『1.0』を強引に『2.0』にバージョンアップしようとするものです。しかし、世界の最先端の働き方はすでに『3.0』から『4.0』に大きくシフトしつつある。たとえ『2.0』までたどり着いたとしても、それではグローバルな潮流にまったく追いつけません」

 なにより日本人は、働き方「1.0」の「伽藍(タコツボ)の世界」にあまりに長く押し込められたため、疲弊し機能不全に陥っていると橘氏はいう。

「事実(ファクト)を示しましょう。日本のサラリーマンのエンゲージメント指数(『会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながり』を評価する基準)は国際的に見て驚くほど低い。エンゲージメントが高いと仕事に対してポジティブで、会社に忠誠心を持っているとされますが、コンサルタント会社を中心にさまざまな機関が国際比較したところ、ほぼすべてで日本のサラリーマンのエンゲージメント指数は世界最低だったのです。

 こうした調査結果を見ても、『日本型雇用が日本人を幸福にした』という保守派やリベラルな知識人の主張が真っ赤なウソであることは明白です。ファクトは、『日本のサラリーマンは世界(主要先進国)でいちばん仕事が嫌いで会社を憎んでいる』ことをはっきりと示しています。

 15~64歳の日本人男性は世界でもっとも長時間労働しており、それにもかかわらず労働生産性は先進国でいちばん低く、その結果、かつて(2000年)世界2位だった1人当たり名目GDP(国内総生産)も下がり続け、2017年には欧米先進国はもちろんマカオ、シンガポール、香港などアジアの国・地域にも抜かれて世界25位まで低迷しています。このままではゆたかさで韓国(29位)に抜かれる日も遠くないでしょう」

 仕事が嫌いで会社を憎みつつも、サービス残業などで長時間労働させられるため、日本では過労死や過労自殺といった悲劇があちこちで起きている。日本型雇用は日本人を「幸福」にするどころか、むしろ「不幸」にしてきたのだと橘氏はいう。

「大きな問題は、世界の最先端が『クリエイター』や『スペシャリスト』『フリーエージェント』といった新しい働き方に大きく変わりつつあるなかで、“前近代的な身分制”の産物であるサラリーマンが絶滅する運命であることです。

 現在進行中の『働き方改革』では日本人の働き方をグローバルスタンダードに合わせようとしていますが、働き方『2.0』でもすでに時代遅れになりつつあります。

 日本企業は専門性に関係なく大学ブランドだけで新卒を採用し、「会社」という小さな人材プーで「ゼネラリスト(なんでも屋)」を養成しようとしますが、グローバル企業は世界じゅうから最適な専門家(その多くは博士など高度な教育を受けた専門家)を高給でヘッドハンティングしています。これではアマチュアのサッカーチームがバルセロナやレアルマドリードと試合するようなもので、勝負は最初から決まっています」(橘氏)

 Salarymanは和製英語で、英語圏ではほとんど通じない。「年功序列・終身雇用」という、いまや世界のなかで日本にしかなくなった独特の働き方は、グローバル化のなかで“絶滅”の危機に瀕している。一刻も早くその事実(ファクト)に気づき、生き延びる術を身に着けておきたい。

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