病院の経営も抜本的に改革していかねばならない。病院は、できるだけ多くの患者を入院させないと赤字になるところが少なくない。外来が赤字なので、入院患者とそれに伴う手術や検査などを増やさなければ、黒字にできないのである。
そもそも日本の病院は、設備や病床(ベッド)が過剰である。たとえば、OECD(経済協力開発機構)の調査によると、CTとMRIの設置台数は、主要国の中で日本が断トツである(図参照)。CTは100万人あたり107.2台で2番目に多いオーストラリア(64.4)の1.7倍、MRIは51.7台で2番目に多いアメリカ(37.6台)の1.4倍だ。イギリスに至っては、CTは日本の10分の1にも満たない。
しかも、日本の病院はX線や超音波、心電図、内視鏡などの検査設備も整っている。カルテは患者のもの、と言いながら実際は患者に渡されていないので、病院を変えるたびに同じ検査を繰り返す。設備を活用して収益を上げたいなら、海外にパイを広げて外国人の「メディカル・ツーリズム」を積極的に誘致すべきだろう。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号