韓国の日本大使館が現在のビルに移転したのは2015年7月のこと。老朽化による建て替えのためだった。旧庁舎はすぐに取り壊されたが、地下から朝鮮王朝時代の遺跡が見つかるなどして作業は全く進まなかった。管轄するソウル市鍾路区役所は大使館側に新庁舎着工を何度も促してきたが、期限までに回答がないとして今年3月4日に建築許可を取り消したという。そもそも大使館前の慰安婦像は2011年12月4日、慰安婦支援団体である韓国挺身隊問題対策協議会(当時)が許可なく設置したものだ。日本側からすれば、毎週、目の前で反日デモが行われるその場所に、わざわざ大使館を新築する選択肢はなかったのだろう。
水曜集会を熱心に見ていた30代の韓国人女性に、訴えるべき相手が去った後も居座り続ける慰安婦像についてどう思うか聞いた。
「日本大使館がかつてここにあったということを証言する意味で、少女像はこのままがいいでしょう。そして、別の場所に新しい日本大使館が建てられたら、その場所にもう一つの少女像を置けばいいんです。あるいは、日本大使館が仮住まいしているビルにずっと居続けるのなら、この空き地を平和のための公園にするのもいいでしょう。そうすれば、あのビルがここからでもよく見えるし、水曜集会も日本政府がきちんと謝罪するまで、ずっとここでできるじゃないですか」
元慰安婦らの象徴だった金福童ハルモニが亡くなったのが、今年の1月末。支援者たちはもっと頑張ろうと誓い合っている。慰安婦像はこれからも日本大使館に付きまとうのかもしれない。