死ぬ準備のために自宅で所有物を整理する中、学生時代の卒業アルバムが出てきた。見れば当時の『将来の夢』として、彼女は「アイドル」「パン屋さん」「ケーキ屋さん」「幼稚園の先生」と記していた。芸能の仕事はすでに経験している。パン屋さん、ケーキ屋さんではアルバイトをしてきた。アルバムにこんな夢を書いていたことは忘れていたが、無意識のうちに「将来の夢」を辿ってきていた自分に衝撃を受けたという。
「芸能もスカウトで、“ちょうど就職氷河期だったから”と逃げの姿勢で飛び込んだ。アルバイトも、お金を稼ぎたいから、とか家の近所にあるからと何気なく選んでいた。でもそれは実は潜在意識ではやりたいことだった。私は学生生活もつまんなかったんです。今よりもっと冷めた子で。お金稼ぎたいから、と消極的に仕事を選んでいた。
顕在意識では自分の人生を諦めているはずなのに、実は潜在意識では常にやりたいことを探していたんだと思ったら、大号泣しちゃったんです。じゃあこんどは自分の意識で、自分の潜在意識がやりたいと思ってたことをやろう、と考えました」
まだやっていないのは「幼稚園の先生」だけ……。だが幼稚園の先生になるには資格がいる。貯金も尽きていた小阪は、すぐに働ける保育補助のアルバイトを探すことに決めた。だが、ここからが大変だった。とにかく採用されないのだ。その理由は先にも彼女を苦しめたネットの存在があったからだという。