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老後に「いらない保険」を見直す判断基準 積み立て型か掛け捨て型か

保険の入院特約も割に合わない時代に

保険の入院特約も割に合わない時代に

 老後のお金は「もらう」「増やす」と同時に「減らさない」ことが肝要だ。そのために考えたいのは、月々の保険料支払いを再考する「いらない保険の見直し」である。

 定年前後になると先行きの健康が不安になり、「〇歳でも入れる」「入院時〇円受け取れます」という謳い文句に誘われて、ついつい保険に加入するケースが少なくない。だがファイナンシャルプランナーの内藤眞弓氏はこう指摘する。

「そもそも生命保険に加入するのは、自分に万一の事があった時に家族が路頭に迷うのを防ぐためであり、子供が独立した世代であれば生命保険は必要ありません」

 これまで保険に加入し続けてきた人も解約するか、継続するかは考え直す必要がある。その時のポイントとなるのが「保険の種類」だ。

「『積み立て』タイプの保険は満期になった時に返戻金があるので、それまでは継続したほうが得になります。一方で『掛け捨て』タイプの保険は支払った保険料が1円も戻ってきません。解約して、その分のお金を貯蓄や生活費に回した方が効果的です」(同前)

 そうは言っても、「大病を患った時の手術代や入院代のことを考えると心配。病気になった時の医療保障のために生命保険に加入し続けています」(74歳男性)という声も多い。

 だが内藤氏は、「高齢者の病気は公的医療保険でカバーできます」と指摘する。

「公的医療保険の『高額療養費制度』を適用すれば、一般的な所得の70歳以上の方ならば月の医療費は5万7600円が上限です。しかも生命保険で目玉になりやすい『入院特約』は入院時しか使えません。近年は入院期間を短くする傾向にあり、生命保険の入院特約は割に合わないのです」

 実際、60歳から月々7000円の保険料の生命保険に加入すると、年間の保険料は8万4000円になる。男性の平均寿命である81歳まで加入すると168万円のコストとなり、入院1日につき5000円支給ならば単純計算で「毎年17日以上入院しないと元が取れない」ことになる。

 これを「現実離れ」と感じるかどうか。そこが“生命保険の断捨離”の判断基準になってくる。

※週刊ポスト2019年5月31日号

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