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2019.05.26 07:00  マネーポストWEB

親と同居する未婚者が増加、実家暮らしの気楽さが「社会性」奪う側面も

実家暮らしの未婚者は増加中

 人生100年時代のなか、日本の若い世代は、結婚はおろか、恋愛やひとり暮らしをすることすらしなくなっている。それを裏付けるように、親と同居する未婚者が増加している。2015年に厚生労働省が行った調査によれば「50才まで一度も結婚したことがない人」の割合を示す生涯未婚率は男性23.4%、女性14.1%。つまり男性の約4人に1人、女性の約7人に1人が一生結婚しない。

 未婚者のうち、親と同居する20~50代は約1430万人で、未婚者全体の約7割を占める。この人数は1980年からの35年でおよそ3倍に急増したという。

 その要因としてまず挙げられるのは「貧しさ」だ。日本社会で格差が拡大するなか、特に男性の場合、社会的地位が低くて収入が少ないと魅力的な恋愛対象になりにくい。また収入が少ないと実家を出ることができず、自立するきっかけを逃し、結果として結婚が難しくなるとも考えられる。

 独立や結婚を阻むのは、経済的な理由ばかりでない。「子ども家庭教育フォーラム」代表で教育心理カウンセラーの富田富士也さんは、“親と同居する気楽さ”を指摘する。

「昔は無理にでも家の外に出て行く以外に働く方法はありませんでしたが、今はインターネットを駆使して、自宅にいながらお金を稼ぐような仕事もある。しかも親は団塊の世代。年金も潤沢でそれほどお金に困っていない家庭が多く、衣食住費をまかなってもらえる。これでは、家を出ない子供が増えるのは当然です」

 現在は実家で楽ができる半面、恋愛や結婚につながる「社会性」が失われたと富田さんが続ける。

「実家で衣食住が満たされているため、社会の中で新しい人間関係を作って生きていく必要がなくなった。その結果深くコミュニケーションする機会は減り、自分が傷つくことや相手を傷つけることを恐れて上っ面の会話ばかりになって、親密な関係に発展しません。傷つき、癒される経験がなければ、なかなか恋愛はできませんから」

 親の代理婚活を推進する結婚相談所「オフィス・アン」代表の斎藤美智子さんも、「恋愛経験のない奥手な男女が増えている」と指摘する。

「婚活の場においても、相手と1対1の関係を築けない人が多い。そういう人は自分のことだけを一生懸命にしゃべったり、一方的に相手を質問攻めにしたりするので、会話のキャッチボールができません。“その年までなぜ結婚できなかったんですか?”などといった相手を傷つけるような質問を平気でする人もいる。

 リアルな言葉を交わさなくてもLINEのスタンプだけでやりとりができてしまう現代社会では、恋愛が成就するようなコミュニケーション力が育ちづらいのではないでしょうか」(斎藤さん)

 斎藤さんの経験からも、親と同居する子供は婚期を逃しやすいという。

「親と子供が同居している家は、家族同士の仲がいいことが多く、“寂しくないから、まあいいか”と結婚を焦らなくなるんです。実際、うちの結婚相談所に入会する親の8割は、子供と同居しています」(斎藤さん)

 もしわが子かわいさに提供する衣食住や一家の団らんが、逆に恋愛や結婚の機会を遠ざけているのだとしたら、何とも皮肉な話である。

※女性セブン2019年6月6日号

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