資産の「可視化」と「意思表示」の両方の機能を併せ持つのが遺言書だ。遺言書は、公証人の立ち会いのもと作成し、原本が公証役場で保管される公正証書遺言と、自ら書き上げる自筆証書遺言に分かれる。
どちらも正しい体裁で記されていれば法的に認められるが、自筆証書遺言の場合、わずかでも記述に誤りがあると、遺言そのものの有効性が問われてしまうこともある。
7月の大改正に先立って、今年1月から、自筆証書遺言に関し財産目録については「パソコン、ワープロ」で作成することが認められるようになり、手書きから大幅に負担が減った。
また遺言書は、正しく保管されなければ意味がない。「円満相続税理士法人」代表の橘慶太氏が解説する。
「しまいこんだ遺言書が死後に見つけられないといった事態に対応するため、来年7月から、法務局での自筆証書遺言の保管が始まります。自宅での保管と違って、紛失の恐れがなくなると同時に、内容の改ざんや偽造といったトラブルも防げます」
◆「住む場所」も「現金」も
遺される家族も新制度について理解しておく必要がある。