スポーツ

フィギュア、ジャンプ測定に新技術 採点で導入は可能か?

4Kカメラで計測されたジャンプの軌跡は約30秒後に中継用で撮った映像と組み合わせて画面に表示される。※写真は世界チャンピオンのネイサン・チェン選手(画像提供/Qoncept )

 いま、スポーツにとってテクノロジーは切っても切れない存在だ。体操競技では2020年までに採点においてAI(人工知能)の実用化が進められており、また、テニスでも電子審判テクノロジー『ホークアイ』が使われ、ボールがインかアウトかをさまざまな角度から撮った映像で判断する。ほかにもあらゆるスポーツでテクノロジー技術が使われているが、最近の注目はなんといってもフィギュアスケートだろう。23年以上、フィギュアスケートを追い続けてきた記者が、競技をとりまくテクノロジーの現状をレポートする。

 * * *
 昨年の全日本フィギュアスケート選手権(以下・全日本)、今年の四大陸フィギュアスケート選手権、そして日本で開催された世界フィギュアスケート選手権(以下・世界フィギュア)で選手が飛んだジャンプの軌跡とともに飛距離、高さ、着氷速度がテレビ画面に表示された。テレビで試合を見ていた人なら、「あれか」と思い出すはずだ。

 フジテレビが独自に開発した『アイスコープ』と呼ばれるその技術が最初に使われたのは昨年11月に行われた全日本フィギュアスケートジュニア選手権(以下・全日本ジュニア)のテレビ放送だった。共同開発に携わったQonceptの南部俊輔さんはその経緯を次のように説明する。

「昨年の9月半ばにフジテレビからジャンプの測定で何かできないかと相談を受け、2か月のテスト運用を経て、11月の全日本ジュニアで実施。そこから12月の全日本に向けて微調整していきました。そもそもアイスコープはQoncept 4D Trackerという人やボールなどをビデオカメラで撮影して、画像解析技術を用いて動きを数値化・可視化するシステムを使っています。これまでも野球、サッカー、バレーボール、陸上、相撲などで、その選手の身体能力、技術的な特徴を把握するためにこのシステムが使われてきました。これをフィギュアスケートにも採用しています」(南部さん・以下同)
 
 今まで可視化することができなかった選手のジャンプの飛距離、高さを把握することができるとあって初めてそれを見たファンは、「すごい!」と驚きの声をSNSで続々と投稿した。そしてファンの多くが知りたがったのが、羽生結弦選手(24才)のジャンプだった。
 
 ちなみに世界フィギュアの男子ショートプログラムの主な選手のトリプルアクセルを比べると次のようになる。               

・羽生結弦 3.62m(飛距離)0.70m(高さ)15.3km(着氷速度)
・宇野昌磨 3.44m(飛距離)0.51m(高さ)18.3km(着氷速度)
・ネイサン・チェン(アメリカ) 2.66m(飛距離)0.58m(高さ)17.1km(着氷速度)
・ヴィンセント・ジョウ(アメリカ) 2.69m(飛距離)0.58m(高さ)16.7km(着氷速度)

 羽生選手のジャンプは実際に見るとどれも大きな放物線を描き、高さも目を見張るものがあるが、数値化することでそのすごさが実証された。彼の場合はトリプルアクセルを飛ぶとき、助走はほとんどつけず、他の選手が真似できないような複雑なターンやステップからはいり、着氷後も難しい動作を入れるので、着氷速度は上記にあげた選手の中でやや低くなる。しかしそれは逆に彼の技術力の高さを示すものであり、助走をつけて踏み切った場合などは、速度はもちろん、飛距離、高さも今以上に大きく伸ばしていくことが考えられる。そういった選手の身体能力を把握できる上でもアイスコープは画期的な技術であった。

「今回のフジテレビの方針としてはいろんな選手のジャンプを比較してみたいということで、それであればアクセル系はみんな飛ぶので、今回は基本的にダブルかトリプルのアクセルを計測することになりました。ただし、アクセルがコンビネーションにしかはいっていない場合はほかのジャンプを測ることにしました」

関連記事

トピックス

大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン