国内

特殊詐欺集団のイベントになぜ芸能人が出席してしまうのか

クラブイベントには芸人、モデル、会社経営者などが集まっていた

クラブイベントには芸人、モデル、会社経営者などが集まっていた

 テレビでよく見かける芸能人ならば、金銭的にはかなり潤っているから奇妙な仕事をする必要はないと誰もが思うだろう。ところが、のちに振り込め詐欺で逮捕されるグループの忘年会に複数の芸人が加わっていたことが発覚した。参加した側はノーギャラだったと証言しているが、招いた側は出演料を支払ったと主張している。有名芸能人が不自然な会社や団体と関わってしまう背景について、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
「ギャラを貰ってないなら余計に問題でしょ。それだけ“親密な仲”っていうことになるわけですからね」

 お笑いコンビ・カラテカの入江慎也が、事務所を介さない「闇営業」を行なっていたとして、よしもとクリエイティブエージェンシーとの契約を解除された。2014年、都内のホテルで行われた特殊詐欺グループの忘年会に複数の吉本芸人が「出演」していたことが一部週刊誌報道で発覚。彼らが特殊詐欺で逮捕されたのは2015年で、2014年末は「詐欺グループ」だとは知らずに出席したと伝えられている。「ギャラも貰っていない」と弁明し、他の芸人へ参加を促した入江をのぞいた出席者は厳重注意となった。しかし、芸人側の証言通りなら、なお悪いのではという冒頭のコメントは、入江が関与していたクラブイベントの主催者の証言である。

「10年近く前の話ですが、渋谷の人気クラブ・Cで“芸人ナイト”と呼ばれるイベントが開催されていました。仕切っていたのは入江さんで、近くのホール(渋谷区)で出番を終えた売れない芸人がたくさん来ていましたよ。芸人はみんなノーギャラなんですが、VIPルームを貸し切ってタダ酒が飲めるし、可愛い女の子が大勢やってくる。もっとも、女の子が無理やり飲まされて…みたいなことも頻発して、このイベントは無くなってしまいました」(クラブイベント主催者)

 入江は、こうしたイベントを通じて渋谷系雑誌の読者モデルらとも交流があり、そこからさらに彼らと交遊する“上”の組織関係者らと接点を持った可能性があるとも話す。

「イベントは誰でも参加できたから、芸人だけじゃなく、反社会勢力の人、今でいう“半グレ”もたくさん来てましたし、現役(暴力団)も少なくなかった。そういう人の前でも入江さんはサービス精神旺盛で、場がものすごく盛り上がった。渋谷の老舗クラブAでは、毎週のように入江さんを見ました。テレビでおなじみの芸人もよく見かけたし、有名ではない芸人も含めると、かなりの人数が来ていたはずです」(クラブイベント主催者)

 みずから反社会勢力の人間ですと名乗ることはないので、芸人たちが同じ場所にいた彼らの素性を知っていたかどうかは分からない。だが、付き合いが長くなれば、何かを察していてもおかしくはなかったはずだと言われている。

 元暴力団員で、渋谷のクラブ運営にも関わった経験があるというM氏(40代)は、半グレや暴力団などの反社会勢力がなぜ、芸人を呼びたがるのかについて、次のように解説をする。

「反社の連中は、詐欺などである程度の金を持つと、別の会社を立ち上げて表向きは“普通の会社”を運営しているように見せかけます。そして見栄っ張りだから、表向きの会社を利用してホテルを貸し切って忘年会したり、派手に遊ぶわけです。そういう時に、芸人やモデルなど、有名人が参加してくれれば格が上がるでしょう? 少なくとも、彼ら自身は格が上がると思っている。芸人を呼ぶには金だけじゃなくコネもいる。あいつらは芸能界にもコネがあるのか…なんて思わせれば、思い切り悦に浸ることができるのです」(M氏)

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン