もっとも、妻が60歳になれば夫が会社員でも自動的に3号の資格を失う。そうなれば、パート妻は逆に厚生年金に加入した方が年金額が増える。
木村氏も、妻が60歳になる前に自分の会社の社員にして給料を払って厚生年金に加入させた。ところが、妻に送られてきたねんきん定期便を見て、妻を解雇した。「加給年金」をもらえなくなることがわかったからだ。
これは年金の扶養家族手当に相当し、妻が年下の場合、65歳になるまで夫の年金に年間約40万円が上乗せされて支給される。
「加給年金には、夫の厚生年金加入期間が20年以上で、妻の厚生年金加入期間が20年未満という支給条件があります。妻は専業主婦になる前に会社員経験があり、ねんきん定期便を見ると、私の会社で働いた期間を合わせると厚生年金加入期間が19年になっていました。このまま社員として働かせると、加入期間20年を超えて加給年金をもらえなくなってしまう。だから仕事を辞めさせたんです」
夫婦の年齢差が5歳以上あることから、加給年金をもらい損ねるとざっと200万円以上損してしまう。この判断があったから木村氏は65歳になった今年から自分の年金に加給年金を上乗せして受給している。
もらえる年金は減額なしで最大化し、国に納める社会保険料や税金は最小限に留める――完璧な年金受給プランの実践といっていい。
※週刊ポスト2019年6月21日号