自分のことを、「仕事に入るととことんやってしまう」と話した上で、「山里さんを見ていると、それで間違っていないんだなと思わせてくれるので、とても勇気が湧きます」とはにかみながら、自分のお腹に手を当てた。女優である彼女にとって、そこが最も大事なポイントだったのだろう。“自分が間違っていないと思わせてくれる”という表現から、山ちゃんは自分に自信を持たせてくれる、何があっても自分の味方でいてくれるという絶対的な信頼を寄せることができたのだと思う。
そして「自分が与えられた仕事は精一杯やっていき、できる限り」
と言葉を区切り「亮太さんを支えたいと思います」と締めくくった。それまで「山里さん」と呼んでいた彼女が、この時は「亮太さん」と名前で呼んだ。妻として、公私ともに夫を支えていく気持ちの強さが、そこに表れていた。好きになった理由を聞かれた時も、表言葉を探すように「私を好きになってくれる男気です」とレポーターを真っ直ぐに見つめて答え、男としての山ちゃんを立てていた。
山ちゃんの方はといえば、どんなに緊張していようと、蒼井さんへの気遣いと気配りを忘れない。会見場に入ってきた時からエスコートするように手を差し出し、椅子へと導く。彼女の話や話し方、途中にあった微妙な間すらも、絶妙なタイミングでフォローして、面白おかしくつないでいく。そのせいか蒼井さんがこれまで以上に、明るくコミカルで楽しい人に見えてくる。
蒼井さんを自分へのご褒美と表現し、蒼井さんの両親に挨拶する時の対応や、彼女が言われていた「魔性」という言葉に対して「そんな人間じゃない」と否定するなど、その言葉や行動は彼女や彼女の周りの人への優しさや思いやりに溢れていた。
蒼井さんは男性に、こういう形での優しさや思いやり、気遣い、気配りを愛情として求め、山ちゃんは女性に、自分への尊敬や信頼、自分を立てて頼りにしてくれることを愛情として求めていた。そして、互いに仕事をしている自分に自信を持たせ、何があっても味方になってくれる相手を必要としていたのではないだろうか。
二人は自分にとって最良の相手を見つけたのだと、笑顔の絶えない会見が物語っていた。