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2019.06.12 16:00  マネーポストWEB

ペナント処分したら家出され… モノを捨てられない夫を持つ妻の葛藤

不要なものだと思って捨ててしまうと離婚の火種に(イメージ)

「ミニマリスト」とは持ち物を減らし、必要最小限のものだけで暮らす人のこと。クローゼットにTシャツとパーカしか入っていないというFacebook創業者・ザッカーバーグ氏をはじめとして海外セレブの実践者も多いというが、そんなライフスタイルを実践するうえで高いハードルになるのが、家族の理解だ。

 金融機関に勤務する鈴木佳子さん(仮名・58才)は、3才年上の夫とふたり暮らし。登山が趣味の夫は、若い頃から世界中の山を登っては、記念のペナントを集めていたという。

「私は全く共感できないのですが、夫はペナントを見て登った山のことを思い出すんだそうです。だけどそう言いながら『思い出の品』が詰まった段ボール箱は10年以上も開けられたことがない。3年前に引っ越した時に、私の独断で、勝手に捨てました。夫はモノを捨てられない性格なので、いちいち相談したら、いつまで経っても片づかないですから」(鈴木さん)

 夫は鈴木さんがペナントを捨てたことに全く気づかず、毎日は平穏に過ぎて行った。ところがしばらくして、親しかった登山仲間が亡くなり、葬儀に出たことがきっかけで、“思い出の品”がないことに気づいてしまった。

「友人の突然の死に夫はかなり落ち込んで、葬儀の夜、彼との登山の思い出を話してくれました。そこから自然とペナントの話になって──この状況でシラを切ることは、どうしてもできず、正直に捨ててしまったことを打ち明けるよりほか、ありませんでした。すると夫は激怒した後、すごく悲しそうな顔をして、家を出て行きました」(鈴木さん)

 結婚してはじめての“家出”だった。3日後に「やっぱりひとりでご飯を食べるのは、寂しい…」と帰ってきた夫に、鈴木さんは心から謝罪し、「これからは夫の荷物に手をつけない」と約束したという。

「だけどすぐに後悔しました。ペナントには懲りたのか今度は、山に行くたびにTシャツを買ってくるようになったんです。捨てられない性格は変わらないので、どんどん増えていきます。ほかには、もう履けなくなった登山靴も、思い出が詰まっているから取っておくというんです。荷物は家に入りきらないから、倉庫を借りて管理しています。月々の倉庫代はばかになりませんが、もう勝手に捨てるわけにはいかないし、どうしたものでしょう…」(鈴木さん)

 離婚問題に詳しい堀井亜生弁護士は、「夫婦間でも勝手に捨てることは犯罪にあたる」と言う。

「趣味のグッズやコレクションなど、配偶者のものを勝手に捨てると、個人の特有財産を処分したとして、刑法261条の器物損壊罪にあたり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。処罰には被害者による告訴が必要なので、実際に罪に問われる可能性は極めて低いですが、黙って捨ててしまうのはよくありません」

 犯罪とまではいかなくても、離婚理由の1つになることは少なくない。

「実際に離婚相談を受ける際に聞いた事例ですが、夫の過去の預金通帳をすべて捨ててしまったケースがありました。ほかには、夫の卒業アルバムや集めていたレコードを捨てたり、持ち物をメルカリで勝手に売ったりとさまざまです」(堀井さん)

“ミニマリスト”という言葉を浸透させ、「ものの手放し方」の講座を開く佐々木典士さんは、「講座を受講する皆さんにも、相手の承諾なしに捨てるのは、いちばんやってはいけないことだと伝えています」と話す。

 とはいえ、段ボール箱にいっぱいの夫のTシャツを前に、鈴木さんは頭を抱える。

「夫だけでなく、私の親も捨てられないタイプ。老親の住む一戸建てにはものがあふれて、もはや自分たちでは片づけられない状況。それを見ていると、やっぱり元気なうちに要らないものを片づけておかないと、安心して暮らせません」

※女性セブン2019年6月20日号

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