国際情報

「海外で身の危険を感じたら米大使館に駆け込め」の理由

ロシアで敵性外国人と見なされたら…

ロシアで敵性外国人と見なされたら…

警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、海外で身の危険を感じた際のセオリーについて、米軍関係者が語る。

 * * *
「身の危険を感じたら、迷わずアメリカ大使館に駆け込みなさい」

 10年ほど前のことだ。ある仕事でロシアに行く予定があると話すと、交流のあった米軍中佐が真面目な顔でこう言った。

 どういうことか聞くと、彼はこう答えた。

「あなたは“敵性外国人”ではないが、誤解されやすい。敵性外国人と思われたら、ロシアは何をするかわからない。危ないと思ったら、すぐにアメリカ大使館に駆け込みなさい。私が話を通しておきます」

 仕事柄、様々な国の情報筋の人間と交流があるのは確かだった。軍人だからこそ“敵性外国人”という言葉でその危険度を表してくれたのだ。

 それより数年前、ワシントンDCに本部を置くCSIS(戦略国際問題研究所)の上級研究員の知人から、突然連絡があった。

「おまえ、中国政府に敵性外国人とみなされているぞ。ブラックリストに名前が挙がっている」

 CSISとは、外交や安全保障分野を中心に政策提言などを行っている超党派のシンクタンクである。CSISが持っている情報網と情報量、情報収集能力や分析体制には計り知れないものがある。私ごときの情報などあまりに小さなものではあるが、それゆえにそのすごさを実感した出来事だった。

「ブラックリストに名前が挙がっている間は絶対に行くな。行ったら、その場で捕まる。いいな、中国には絶対、行くな」

 名前が中国政府のブラックリストに上がっていると聞き、驚いた反面、思い当たる節はあった。深セン市政府の有力者の子弟が日本に留学するための保証人を頼まれ、断っていたのだ。経済特区だった深セン市の発展はすさまじく、それだけに彼らは金も権力も持っていた。

 その後、有力者たちは汚職で摘発され、政府から一掃された。自分の名前もブラックリストから外された。

 話を戻そう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン