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山手線を支える「レンガ」「ラーメン橋」の秘密

明治の開業当時の有楽町駅。特徴的なレンガ造りのアーチと架道橋は今も現役だ(『写真集 山手線』より)

 山手線内回り電車に乗って東京を出ると、また高架が続く。東京~神田間の高架橋はちょうど100年前の大正8年(1919)の建設である。この時代になると鉄筋コンクリートが実用化され、最新鋭の建築方法となっていた。そして、政府肝いりで建設された同区間にもこの工法が採用された。

 しかし、実際の高架橋を見るとレンガ模様である。実は、鉄筋コンクリート造りの上にレンガ模様の装飾を施しているのだ。これは、既存の新橋~有楽町間の高架橋に意匠を合わせたからだと言われている。

 同じ構造は、大正元年(1912)開業の旧万世橋駅(中央線)にも見られる。現在、旧万世橋駅跡は商業施設となっており、外からレンガ模様を見るだけでなく、高架下に入ってむき出しの柱や梁を見ることができる。外見は由緒正しいレンガ造りでも、その実は鉄筋コンクリート造りであることがわかるだろう。しかし、こちらも建設されてからはや100年。当初は“レトロ調”だった高架橋も、もはや本物のレトロ高架橋になっている。

 神田を出てから上野に至るまでも山手線は高架が続く。ここはラーメン橋(橋桁と橋脚が一体構造の橋。ドイツ語で骨組みを意味するRahmenに由来)と呼ばれる、現在一般的によく見られる構造の鉄筋コンクリート高架橋である。これも歴史を持った橋で、大正9~14年(1920~1925)に日本初のRCラーメン橋が建設されたのがこの区間である。

 現在、同区間には「2k540」という文化施設が建設され、構造を間近で見られるようになっている。御年94歳、そうは見えないが、大正時代の橋が令和の鉄道を支えている。

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