ビジネス

ラーメン『幸楽苑』、「600店舗の壁」を乗り越えV字回復実現した奇策

『幸楽苑』のあっさり中華そばとギョーザと半チャーハン

『幸楽苑』のあっさり中華そばとギョーザと半チャーハン

 チェーン店の出店戦略として有名なのが、特定の地域に集中的に出店する「ドミナント戦略」だ。多店舗化することでブランドの認知度が上がるだけでなく、仕入れ・配送にかかるコストが下がり、低価格での販売が可能になる。現在は飲食業界の人手不足が深刻だが、近隣に店舗があればスタッフの融通も利くし、廃棄ロス軽減にも繋がる。

 居酒屋チェーン『鳥貴族』は、新宿駅・渋谷駅というターミナル駅の近辺にそれぞれ9店舗ずつを構えるドミナント戦略が特徴的で、全国659店舗を展開している(2019年5月末時点、以下同)。

 そうした集中出店によって業績を伸ばしてきた企業は多いが、一定数を超えるとリスクも大きくなってくる。業界で「600店舗の壁」と評される現象だ。ビジネス誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が解説する。

「ある程度まで拡大すると、同じ店舗同士で顧客を奪い合ってしまい、逆に経営効率を落としてしまうのです。

 過去のケースを見ると、その目安となるのが、500~600店舗と言われています。ただし、その壁をうまく乗り越えて1000店舗に到達すると安定が見えてくる。大手のファミレスやコンビニ、牛丼チェーンなどが代表的です」

 821店舗を有する丸亀製麺は「600店舗の壁」をクリアしているが、この「壁」に直面したと指摘されているのが、ラーメンチェーンの『幸楽苑』だ。

 2013年に500店舗を超えて以降、業績も右肩上がりを続けていたが、542店舗となった2017年3月期に通期の赤字に転落。全体の1割弱にあたる52店舗を閉店した(6月19日現在で508店舗)。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。