芸能

田代まさし「アンチ覚せい剤の生ける教科書」として地位確立

新しい芸を得た田代まさし(イラスト/ヨシムラヒロム)

新しい芸を得た田代まさし(イラスト/ヨシムラヒロム)

 お茶の間で人気だった有名人が罪を犯したあと、再び世間に受け入れられるには長い時間と地道な積み重ねが求められる。しかし田代まさしの場合、4度の逮捕と2回の懲役は、軽やかな笑いという彼の芸風に深く傷を付け復帰を難しくした。ところが、ネット番組という、彼の全盛期には存在しなかったメディアが登場したことで、田代は新たな芸風を獲得しつつある。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、NHK Eテレに出演を果たした田代まさしがネット番組で得たものについて考えた。

 * * *
 一流芸能人であっても、身を持ち崩す可能性がある。自らを商品とする職業は危うい、一寸先は闇だ。

 ある芸能人がピエール瀧のニュースに対して、「芸能人は宝くじが当たったようなものなのに……」と言っていた。数年前からテレビに出戻りしたヒロミは「色々な仕事をやったけど芸能人が一番儲かる。身一つでできるしね」と語る。

 以上の発言から、売れっ子芸能人は夢のような生活を送っていることがわかる。しかし、当たり券を自ら放棄する芸能人も多い。過去、何人もの失落者を見てきた。そのなかで最も衝撃的だった人物の1人が田代まさしだろう。

 不良から成り上がり、全盛期には夕方ニュースのキャスターまで務めていた。しかし、2000年の盗撮で書類送検された報道をキッカケに急転直下で転がり落ちていく。2001年には覚せい剤取締法違反で逮捕。その後、同じ罪を3度も重ねる。田代は刑務所に計7年収監され、メディアからも消えた。

 2014年に出所、罪を償ったとはいえテレビ復帰は難しい。ところが、意外な形でテレビに登場する機会を得る。2016年に清原和博が覚せい剤取締法違反で逮捕された際、薬物の恐ろしさについて、身を以て体験した有識者としてコメント。以後、「芸能人と覚せい剤」の専門家・田代は時折メディアに現れた。しかし、そこには過去「小道具の天才」と呼ばれた面影はない。淡々と薬物の怖さについて語るだけ。

 当たり前だが、笑いと犯罪の相性は悪い。田代は犯罪を犯したことにより、ふざけることを禁じられた。反省の日々を送る側面だけがクローズアップされる。

 しかし2018年、真面目さだけを求められ続けた風向きが変わる。キッカケはネットテレビの隆盛だ。7月に田代はアイドル“THE BANANA MONKEYS”のPVに出演、といっても一緒に踊ることはなく、アイドル相手に授業を敢行。科目は自分史である。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン