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相続ルール改正、相続権のない妻も請求可能になった「特別寄与料」とは

夫である長男の父を介護した妻の場合、いくら請求できる?

夫である長男の父を介護した妻の場合、いくら請求できる?

 ついに7月1日、相続に関する民法が本格改正された。今までは、妻が義父母の介護をしていても、亡くなった際には遺産が受け取れなかった。しかし、これからは相続権のない妻も介護への貢献度で「対価」を相続人に請求できるようになり、「特別寄与料」を受け取れるようになった。

「結婚当初から、ひとり身だった義父と同居し、5年前に夫が病気で亡くなった後も、義父をずっと介護してきました。でも、義父が亡くなった時、私は遺産を1円も受け取れませんでした。夫の弟や妹よりもずっと、義父の介護のために自分の時間を犠牲にしてきたのに…。あまりにもひどいし、納得できません」

 そう憤るのは、神奈川県在住の主婦・米田さん(60才・仮名)。このような遺産相続争いは年々増加している。相続コーディネーターで「夢相続」代表を務める曽根恵子さんが説明する。

「私たちが行ったアンケート調査によれば、遺産分割が揉める理由の第1位(27%)は『それぞれの主張が対立』すること。そのほとんどが、介護や看病をしたのに遺産の相続分が少ない、もしくはまったくないという主張によるものが多いのです」

 しかしこの7月1日、約40年ぶりに相続に関する改正法が本格的に施行され、新ルールの適用がスタート。それによって、介護で泣き寝入りしてきた妻たちの状況は大きく変わろうとしている。

 これまで、妻はどれだけ義父母の介護を頑張っても、義父母が亡くなった際に遺産を一銭も受け取ることができなかった。法改正前にも、妻が義父母の介護に尽くした場合には、法律上「寄与」という考え方はあった。しかし、寄与料を受け取るためには、他の相続人の同意が必要な上に、妻ではなく相続人である夫に支払われるものだった。

 そのため、前出の米田さんのように、夫が義理の親よりも先に亡くなったケースでは、遺産分割の際に介護の貢献分(寄与分)を請求する手立てがなかった。妻は、献身的に介護を続けても金銭によって報われることはなかったのだ。

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