Aは「この日のことだけがきっかけではない」という趣旨の供述をしており、以前には学校に、本郷くんとの関係について相談したこともあるという。しかし、市の教育委員会は事件直後に行った会見で、「人間関係の大きなトラブルは把握していない」と説明した。
「2人が通う中学校では、過去2年間、生徒の自殺が続いていました。保護者からは“具体的な改善案はないまま”などの不満が聞こえていた中での今回の事件。事前に防ぐことはできなかったのか悔やまれます」(2人が通う中学校関係者)
公認心理師の長谷川博一さんは、Aについて「思い込みが強く、メタ認知が弱い特徴があるのでは?」と分析する。
「Aは、相手が否定しているにもかかわらず、『教科書を隠された』ことを確信し、犯行に及びました。“自分は嫌がらせをされているのに、相手が認めない”と強く思い込み、自分の確信を否定されたように感じたのでしょう。それが引き金となって、これまで抑圧されていた怒りが爆発し、破壊的な攻撃行動に移ったと考えられます。
事件後、『相手が自殺した』という、すぐにわかる嘘をついたことからは、自分の言動が他者からどう評価されるのかを認識する『メタ認知』の苦手な子供だとも考えられます。
14才以上は刑事罰適用年齢です。家庭裁判所の決定により、児童自立支援施設もしくは医療少年院での更正を目指すことになるのではないでしょうか」
真面目でおとなしかった14才の少年は、突発的な感情で、友人をメッタ刺しにする“キレる少年”へと変貌した。2人の間に何があったにせよ、Aのやったことは決して許されることではない。
※女性セブン2019年7月25日号