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2019.07.11 15:00  マネーポストWEB

父の生命保険料を肩代わりして払った場合、保険金の取り分は増えるのか

生命保険の保険料を立て替えていた場合、他の兄弟より多くもらうことはできるか(画像はイメージ)

 父の生命保険料を私が肩代わりしたのだから、きょうだいの誰よりも多く相続したい──気持ちは理解できるが、そんな考えは通るのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 先日、父が亡くなりました。生前、父から毎月の生命保険料の支払いが難しいと相談され、仕方なく5年間も2万円を口座に振り込み、払い続けていました。だから当然、支払われる保険金は、ほかの2人の兄弟よりも多く貰ってもよいのではないか、と思っています。この判断は法的に間違っていませんよね。

【回答】
 生命保険金は、生命保険契約上の受取人が保険契約に基づいて取得する権利であって、相続財産ではありません。保険契約で受取人が指定されていれば、被保険者の死亡により、発生する保険金請求権は、その人の固有の財産です。

 相続人が複数いて遺産分割協議が必要な場合では、生命保険金は当該受取人の財産になり、遺産分割の対象ではありません。受取人が相続人と指定されていたり、あるいは契約者自身が受取人になっていた場合には、法定相続人が法定相続分に応じ、固有の権利として保険金を請求できます。

 生前の保険料を5年間分立て替えていたとしても、保険金の帰属は上のとおり、保険契約の定めによって決まるので特別優遇されません。共同相続人の一人が被相続人の事業で働いたり、財産上の給付、被相続人の療養看護などで被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合には、その分を遺産から先取りできますが、保険料の立て替え程度では、特別の寄与は認められないでしょう。

 しかし、お父さんに対して保険料の立替金の返還請求権を持っていたことになり、相続財産から清算を求めることはできます。ただ、それは受取人の固有の権利である保険金とは関係がなく、相続財産に属する債務としての清算です。

 なお、遺贈や結婚資金などの生前贈与を貰った人がいた場合、公平を期すために特別受益として実際の遺産に計算上加算し、遺産分割して特別受益分を控除してから、実際に分割する制度がありますが、保険金は該当しません。

 ただし、保険料を被相続人が支払った結果、共同相続人の一部だけ他の遺産に比べ極めて大きい保険金を得て、不公平が著しい場合においては、特別受益の規定が類推適用される可能性もあります。

【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2019年7月12日号

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