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2019.07.11 16:00  マネーポストWEB

認知症の義母の介護を続けた妻 義弟からは「カネ目当てだろう」

相続人に知らせずひっそり介護を続けるのはNG(イラスト/黒木督之)

 7月1日からスタートした相続のルール改正により、義父母の介護をしていた妻も「特別寄与料」を受け取れるようになった。新制度以前は、介護で泣き寝入りしていた妻たちの状況は大きく変わろうとしている。

 愛知県在住の松原さん(54才・仮名)には、苦い経験がある。

「夫には弟がいるのですが、若い頃から仲が悪く、ほとんど連絡を取り合っていません。同居している義母が認知症を患ってからは、私が介護を担当していましたが、義弟はそのことを全然知りませんでした。義母が亡くなり、遺産相続となった時、私が介護していたことを切り出したところ、義弟はお礼の言葉どころか“カネ目当てだろう”と言いがかりをつけてきたんです。情けないやら、悔しいやらで涙が止まりませんでした」

 このように、相続人に知らせずに“ひっそり”と介護を続け、義父母の死後に「介護していた」と主張するのは、揉める原因になる。相続人にとっては“後出し”のように感じられ、自分が相続する財産が減ることになるからだ。

 当然のことだが、相続の権利を持つ人(相続人)が増えれば増えるほど、遺産分割は揉めやすくなる。介護や看病の「特別寄与料」は、“争続”のきっかけをつくりかねないものだという認識が必要だ。「円満相続税理士法人」統括代表社員で税理士の橘慶太さんが話す。

「義父母の生前から、介護の実態を周囲(相続人)に充分に理解しておいてもらうことが大切です。そのためには、介護の記録を日常的に相続人にメールしたり、盆暮れなど親族が集まる機会に、介護記録を見せておきましょう。親族にとっては“きちんと介護してくれているんだ”という安心感にもつながります」

 動画や写真を残すのもおすすめだという。相続コーディネーターで「夢相続」代表を務める曽根恵子さんが話す。

「義父母の様子を動画に撮影し、親族間で共有することでどれだけ大変な状況か伝えられます。そのように、介護に費やした時間数では換算できない精神的苦痛や手間がかかっていることを知ってもらっておいた方がいい。親族にとっては、高齢の家族の様子を知る数少ない機会であり、安心する材料にもなります」

◆妻が請求できる「特別寄与料」の目安

 しかし、努力を重ねても相続人との話し合いで折り合いがつかなければ、家庭裁判所に申し立てることができる。

 特別寄与料を請求できるのは、相続発生から6か月以内、または、被相続人が亡くなってから1年以内と決まっているので、早めの対応が必要だ。

 妻の介護の労力が認められた場合、実際にどのぐらいの金額がもらえるのだろうか。たとえば、妻が介護を続けてきた義父が亡くなり、2000万円の遺産があるとする。特別寄与料を請求し、200万円が認められた場合、相続人である長男(夫)と長女が受け取るはずだった遺産から、100万円が均等に差し引かれ、妻に支払われる仕組みだ。

「特別寄与料の算定方法はまだ正確に定まっていませんが、過去の例に照らすと『介護にかけた時間×都道府県が定めた最低賃金』で計算されたり、『介護のためにやめた仕事で本来得られていたはずの賃金』または、『ヘルパーを雇ったらいくらかかっていたか』などが考慮されて算定されると考えられます」(曽根さん)

 たとえば、1日7時間、1年間を介護にあてた場合、最低賃金水準を時給850円とすると、7時間×850円×365日なので、217万1750円になる。

「実際には毎日の介護は認められないこともあり、200日分に換算されたとしたら119万円。これが10年続けば1190万円ですが、遺産そのものが少ない場合には、その金額でもらえる可能性は低いかもしれません」(橘さん)

※女性セブン2019年7月18日号

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