国内

ノモンハン事件 「作戦の神様」が遺していた失敗の本質手記

ノモンハンで戦う日本軍兵士(写真/共同通信社)

 旧日本軍の敗因を分析した『失敗の本質』(1984年刊)は、小池百合子・都知事が愛読書とするなど、日本型組織の問題点を知る上での重要参考書となっている。

 書いたのは研究者たちだったが、全く似たような分析を、当事者である「大本営参謀」が終戦直後に書き残していた。74回目の終戦記念日を前に、超一級の歴史資料が発掘された。

◆没後50年で公開

 去る7月8日、1939年に起きたノモンハン事件から80年の記念式典が、現場となったモンゴル東部のハルハ河近くに建てられた慰霊碑のもとで開かれた。当時の満州国とモンゴルの国境線で勃発した日本とソ連の武力衝突は、日本が第二次大戦の泥沼にはまっていく端緒となったとされる。

 このノモンハン事件で作戦参謀を務めたのが、日本陸軍の辻政信だった。辻はノモンハン事件やマレー上陸作戦を指揮し、“作戦の神様”と称された一方、独断専行や部下への責任転嫁に対する批判も多く、世間の評価が真っ二つに分かれる人物である。

 辻は終戦時に投降せずタイから中国に渡り、中国国民党の庇護のもと潜伏した。その後帰国し、衆院議員になるが、参院議員に転じた後の1961年にインドシナ視察のため日本を発ち、ラオスで消息を絶った。非常に数奇な運命を辿っている。

 その辻の未発表手記が、ノモンハン事件から80年の節目に公開された。この存在はかねて知られていたが、辻の遺族の意向でこれまで内容が伏せられてきた。保管していた辻の次男・毅氏が、公開に至る経緯を語る。

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン