「すごくロマンティストです。そういう男性、いいじゃないですか。僕もいつも恋をしていますし、女性に花を贈ります。えぇ、今だってもちろん恋をしていますよ。阿川さんの本には米内光政のインタビューもあって、そこで米内は山本五十六を『彼は茶目ですな』と述べている。お茶目の茶目ですね。そんな素顔が少しなりとも出せたらと思っています。
大和の是非を問う本会議のシーンでは建造推進派の嶋田繁太郎(橋爪功)とやり合うのですが、その時の“おまえ、セカンド(愛人)がいるではないか”という突飛な台詞や仕草は僕なりの茶目な五十六です。まるで子供の喧嘩を、監督や橋爪功さんも面白がって乗ってくれました」
他にも、舘ならではの演出があった。
「彼はある意味エンターテイナーだったと思うんです。逆立ちが得意で駐在武官として各国を巡る際には必ず披露し、船の上など様々な場で人を楽しませた。それゆえに航空機で戦艦を沈めるという真珠湾の奇策も、ある意味ストンと落ちたのではないか。真珠湾構想へ繋がっていくかもしれないという自分なりの解釈として、どこかに採り入れたいと考え、逆立ちしました」
劇中では、永野修身(國村隼)に真珠湾構想を初めて明かす場面もある。