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2019.07.29 08:00  SUUMOジャーナル

駅近からチャリ近へ。シェアサイクルの普及によって変わる? これからの住まい選び

(写真撮影/今井雄紀)

ここ数年、東京の街角でよく見かけるようになった赤いシェアサイクル。このサービスの利便性と可能性に惹かれ、生活の中心に据えて暮らしているというAさんに、その魅力と住まい選びへの影響について聞きました。
「シェアサイクルのポートが近くにあったこと」が家探しの決め手に「ポートに近かったことが、今の物件に住むことにした決め手です」

そう語るのは東京都内に住む30代前半の男性、Aさんです。渋谷区に暮らすAさんは、2019年初頭に渋谷区内で引越しを経験。その際、セキュリティや築年数、日当たりなどといった要素と同じように重視した、通常の物件情報からは読み取れないポイントがあったといいます。

「今の物件は駅近で間取りや広さも希望通りだったのですが、似たような物件はほかにもいくつかありました。そんななかこの物件にした決め手になったのが徒歩圏内にシェアサイクルのポート(借り出しと返却が可能な無人の駐輪場)があることでした。駅近であり、チャリ近の物件だったんです」

Aさんのいうシェアサイクルとは、2019年7月現在、東京都内10区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区)主導で行われている自転車シェアリング事業実証実験のこと。都内にお住まいの方には「Uber Eats(ウーバーイーツ)の配達員がよく乗っている赤い自転車」と言えば分かりやすいでしょうか。先述の10区内に設置された専用ポートであれば、いつどこで借りて、どこに返却してもOK。しかも電動なので、坂道の多い東京の街でも体力を奪われることはありません。Aさんは2年前に使い始めて以来ほぼ毎日利用していて、もはやシェアサイクルのない生活は考えられないといいます。

(写真撮影/今井雄紀)

「通勤はもちろん、買い物や通院などにも利用しています。ポートにしか返せないと聞くとめんどうに思われる方もいるかもしれませんが、駐輪場を探す手間がないとも言えます。渋谷や新宿といったエリアに行くとき、停める場所の心配がないのは快適です。また、終電後もすごく便利ですね。わたしはお酒を飲まないので、会食後で遅くなっても自転車の運転ができます。ポートを探して多少歩くことはありますが、自転車を見つければ1回30分150円の料金で帰れる。深夜にタクシーに乗ることはほとんどなくなりました」

また、シェアサイクルは手軽に利用できるのが魅力とのこと。

「スマホさえあれば、すでにアカウントのある人なら1分以内に、アカウント未登録の状態からでも5分以内には手続きが完了してすぐ乗車することができると思います。毎朝指定業者が各ポートまでトラックでやってきて、自転車を回収し、充電とメンテナンスをしてくれるため、管理のストレスもありません。

料金も手ごろで、支払いも簡単です。初乗り150円の料金は、その後30分経過ごとに100円ずつ課金されます。例えば70分乗ったら、最初の150円+200円で350円の利用料。基本料金などは不要で、これがいちばんライトな使い方で、他に、初乗り分が乗り放題になる(30分ごとの100円課金は有り)月額会員もあります。いずれも、入会時に登録したクレジットカードから引き落とされるので楽ちんです。月4000円で完全乗り放題となる法人会員制度もありますよ」(Aさん)

便利で手軽なだけでなく、自転車を使うことによる「たのしみ」もかように便利で手軽に利用できるのはもちろん、それ以外にも「たのしみ」があるとAさんは続けます。

「公共交通機関を利用するときにはなかなか体感しづらい、街やスポットの位置関係の把握ができるのはおもしろいですね。神田・秋葉原・神保町ってこんなに近いんだ、とか。あとこれは乗ってから分かったことなんですが、自転車のいいところって簡単に“停まれる”ことなんですよね。ちょっと気になるお店があったら片足をおろして表にあるメニューをながめたり、いい感じの公園を見つけたらGoogleマップにピンを立てておいて、休日にゆっくり訪ねるなんてこともできます。そういう発見があるので、天気のいい日なんかは移動自体がたのしみになりますね」

Aさんのご友人には、同じように日常的にシェアサイクルを利用している方が何名もいらっしゃるといいます。時には、このシステムを使ってちょっとしたあそびをやることもあるとか。

(写真撮影/今井雄紀)

「いつも集まる同世代の男性10人ぐらいのグループがあるんですが、そこでは8割の人間がシェアサイクルのアカウントを持っています。一昨年の10月ぐらいかな、ようやく涼しくなった日の深夜、それぞれが自転車を借りて日本武道館に集合し、みんなで都内を“流した”こともありました。あてもなく移動してたまたま見つけた銭湯に入って、深夜までやってる町中華を見つけて夜食を食べて、また適当に帰る。普段とは違う速度で移動すると街の見え方が全然ちがって、すごくたのしかったです」

改善点はありつつも、似たような物件があったら絶対ポートに近いほうに住みたいシェアサイクルのおかげで東京という街をこれまで以上にきめ細かく知ることができ、より好きになったと語るAさん。課題はないのでしょうか。

「改善してほしいところはたくさんあります。ポートの数はその筆頭ですね。渋谷区は後発ということもありますが、まだまだ十分な数とは言えません。それと、これは利用者が増える以上仕方のないことだと思いますが、メンテナンス不良の車両を見かけることが多くなりました。パンクしていたり、サドルが壊れていたり。多少利用料金が値上がりしてもいいのでそこはしっかり対応してほしいなと思います。あとこれは友人の話なのですが、同じようにポートに近いからと物件を選んだらそのポートが閉鎖されてしまって……あれはかわいそうでしたね」

Aさんが不足していると語る、渋谷近辺のポート網(写真撮影/今井雄紀)

最後に「次に引越しするとき似たような物件があって、家賃の差が数千円なら、絶対ポートに近い方を選びますね」と語ってくれたAさん。駅近の物件の価値がすぐに変わるといったことはないかと思いますが、「駅徒歩15分(でもシェアサイクルのポートには徒歩2分)」といった風に、シェアサイクルのポートに近いことが、物件の付加価値になるなど、住まいの選びかたが変わっていく可能性を感じたインタビューでした。

(写真撮影/今井雄紀)

(今井雄紀(ツドイ))

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