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2019.07.30 15:00  マネーポストWEB

『LIFE SHIFT』著者提言 人生100年時代における資産形成とは

『LIFE SHIFT』著者のアンドリュー・スコットさん

 これからの超高齢社会を前に、老後の生活や資金に頭を悩ませている人も多いが、「長寿社会をポジティブに捉え、今後の人生を前向きに再設計してほしい」と語るのは、ロンドン・ビジネススクール教授のアンドリュー・スコットさん。スコットさんは『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』を2016年に出版し、日本でも「人生100年時代の羅針盤」として、30万部超を記録したベストセラーになった。

 7月25日に開催された日本CFA協会主催のカンファレンスでスコットさんは「人生100年時代における金融・資産運用に対する向き合い方」について見解を述べた。

「人生100年時代において、資産形成は重要な役割を担います。その資産形成を能動的に考えてもらうためにはこのように問いかけます──『長寿化でこれからの人生の時間が増えることは必須です。あなたはこれからどんな人生を望み、どのような将来を思い描きますか?』と。未来予想図から問いかけることで、資産運用に積極的でなかった人も、今後の財産管理の話などから、徐々に関心を向け始めます。『LIFE SHIFT』の読者に限らず、そのように考えてもらえる人は多くなりました」(スコットさん、「」内以下同)

 日本では「老後は年金以外に2000万円必要」という金融庁の報告書が話題になったが、イギリスでも老後に不安を抱える国民は多く、日本と同様に年金はセンシティブな話のようだ。

「イギリスでも年金に関する話題は物議を醸します。国民は年金や老後への不安から、資産形成の必要性を感じながらも、資産運用や金融商品に関する話題になると、途端に難解なイメージを抱いてしまうように思えます。私は金融畑の人間ですので、統計や試算数値を用いながら議論することは好きですが、一般の方々にとってはそういった話の多くが、つまらないものに感じられるのかもしれません」

 スコットさんは「人生設計」を従来の「教育」「仕事」「引退」の3つのステージではなく、数段階の「マルチステージ」で考える必要性も説く。長寿化に伴い「老い」の概念が従来とは変化しているから、と言う。

 医療やテクノロジーの進化で、カラダの年齢と暦の年齢の認識に乖離が起き始めているとスコットさんは指摘し、「1950年における65歳の死亡リスクは、現代における79歳の死亡リスクと同じ」という研究データもあると言う。つまり、一義的に65歳以降は引退世代などと決めることはできなくなっているということだ。また、長寿化は単純に生きる時間が増えることでもあり、教育やキャリア形成が若い時代に限らず、70~80代で行われても不思議ではなくなる。

 マルチステージの人生設計が広まれば、資産形成においても多様化を求められるだろう。一概に「定年後には○○万円必要」という話では片づけられなくなるからだ。

「年齢別に資産形成をアドバイスする時代は終わり、その人のライフステージに応じて、柔軟な資産管理が求められるようになるでしょう。イギリスでは個別に良い金融アドバイスを受けられるのは特定の層だけなので、一般の人々でも安価で多様な助言を聞けるような社会になることが今後の課題になっています」

 スコットさんが言うように、まずは「どんな人生を歩んでいきたいか」を考えたうえで、自分に必要な資産形成のかたちをあらためて問い直すことが、必要な時代になってきているようだ。

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