国内

巧妙な「保存料」の罠 「発酵風味料」と表記されることも

保存料、防腐剤「不使用」記載の巧妙な罠とは?(写真/PIXTA)

 7月中旬、国産ドライフルーツ製造メーカーの一部商品から、基準値を超える「ソルビン酸」が検出されたことがわかった。ソルビン酸とは「保存料」の一種だ。メーカーが「食べても健康への影響はない」と発表し、自主回収を行ったことは大きなニュースにはなっていないが、食品ジャーナリストの郡司和夫さんは「とんでもない話だ」とあきれる。

「ソルビン酸は厚生労働省が使用基準量を設定。基準量以下なら人の健康を損なう心配がないとされます。逆に考えれば、基準値を超えた量は健康を損なう恐れがあるということ。そもそも、ソルビン酸を使用すること自体に危険性が指摘されているのに、基準値をオーバーするなんて、ありえません」

 一方、スーパーの食品売り場でよく見かけるのは、「保存料は使っていません」「防腐剤不使用」と大きく書かれた食品だ。保存料を使っている商品と比べ、「体によさそうだ」と、手に取ってしまうのが消費者の心理というもの。だが、こうした安心感を与える表示の裏側には、危険な落とし穴があった。

◆「保存料」を「発酵風味料」「発酵調味料」とごまかしている

 東京都福祉保健局の公式ホームページを見ると、よく使われる保存料として、安息香酸、安息香酸ナトリウム、しらこたん白抽出物、プロピオン酸、ポリリジンなどが挙げられている。

 今回、ドライフルーツで基準値を超えて使われていた「ソルビン酸」も、同じく保存料の一種であり、カビや細菌の発生を抑えて、食品の保存性を高めるために使われている。

 ちなみに、「保存料」と「防腐剤」は同様の意味で使われることが多いが、食品添加物を意味する時は、「保存料」と表示するのがルールだ。商品の「原材料名」欄には、「保存料(ソルビン酸)」などと記載されることが多い。

主な保存料の種類

 郡司さんは、ソルビン酸の「発がん性」を問題視する。

「動物実験では、肝臓肥大、成長抑制、染色体異常を引き起こすことなどが報告されています。さらに、添加物には『相乗毒性』といって、別の物質が組み合わさると毒性を持つケースもある。たとえば、ハムやソーセージには、ソルビン酸に加えて、肉の色をよく見せるために発色剤『亜硝酸ナトリウム』が使われることが多い。ソルビン酸と亜硝酸ナトリウムが混ざると、発がん性物質ができることは世界的に有名な話です」

 食品評論家で、『コンビニ&スーパーの食品添加物は死も招く』(マガジンランド)などの著書がある小薮浩二郎さんはこう話す。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン