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コラム

2019.08.13 15:00  マネーポストWEB

回転寿司マジック マグロ含有量1%に満たないネギトロのカラクリ

回転寿司の「ネギトロ」の正体とは(イメージ。写真:アフロ)

 国道に面した飲食店に、ファミリーカーが次々と入っていく。店舗入口には順番待ち用の椅子が並べられ、すでに満席。ぐずる子をあやしながら、立って順番を待つ家族連れの姿…。ある大手回転ずし店の夕飯時の様子だ。全国あちこちで、そうした人気ぶりは見慣れたもの。最近では、スマホアプリから予約できる店舗も増えているが、それでも休日ともなれば、2時間待ちもザラだ。

 老若男女が集う回転ずしは、長引く不況の中でも、業界全体の売り上げが伸びている珍しいジャンルだ。「最強の外食産業」ともいわれるが、各チェーンは非常に厳しい競争にさらされている。「安かろう、まずかろう」では客は逃げていくばかり。どうしたら激安でおいしいネタが提供できるのか、そこには涙ぐましい努力が潜んでいる。

 例えば、回転ずしのシェア1位の「あきんどスシロー」ではエビに関し、非常に厳しい社内基準があるとされるが、他店ではそれを“利用”しているケースもあるという。大手回転ずしチェーンの仕入れ担当者が語る。

「スシローは8~8.5cmの大きなエビしか使わない(スシロー広報は「一概にサイズについて回答するのは難しい。エビに精通したバイヤーがおり、厳しい基準があることに間違いない」と回答)。スシローのエビは、ほかの店舗よりも原価率が高いといわれています。

 一方で、スシローに流れなかった“こぼれ品”を安く仕入れている店もある。味は同じなので、価格を下げずに提供しても“あの店よりまずい”という不満の声が出ることはない。同様に、タコやイカの規格外を大量に仕入れているところもあります」

◆『ネギトロ』『ネギマグロ』の秘密

 人気ネタのひとつで常に品不足のホタテやツブ貝にかわる食材として、『黒ミル貝』や『白トリ貝』など、日本ではなじみのない魚介類を新規開拓し、寿司ネタにすることも珍しくはなくなっている。だがその商品名には、疑いの目を向けることも必要かもしれない。水産庁の担当者はこう話す。

「魚介類は法令で具体的に名称が決められているわけではないので、これに違反したからといって、即座に法令違反とはなりません。水産庁としても、全く別の魚を、既存の魚と似たような名前に置き換えるのはよくないと認識しており、明らかに消費者の不利益になるものは、景品表示法違反になると考えています。ですが、商品名を改めるように指導する程度しかできないのが実情です」

 つまり、店舗のメニューでは、比較的安価なキハダマグロもメバチマグロも、一緒くたにマグロとして表記しても問題はないということになる。『ネギトロ』『ネギマグロ』は商品名マジックの代表例と指摘する声もある。

「マグロの種類が明記されていない上、安価なほかの魚肉で作られているものもあります。なかには、マグロ含有量が1%に満たないネギトロを出している店も少なくない。そもそも、魚の“トロ”の油は使っておらず、植物性油を混ぜて作っているネギトロが多いんです。だから、ネギトロの加工工場が沿岸部ではなく内陸に多いのも納得できます」(外食業界紙記者)

◆「黒トリ貝」と「白トリ貝」、どちらが本物か

 提供側に悪意はなくとも、消費者が勘違いしうる商品もある。外食業界紙記者が続ける。

「本来『ミル貝』はミルクイ(ミルガイ、バカガイ科)という貝なのですが、漁獲量が減少したため、色の白いナミガイ(キヌマトイガイ科)が『白ミル』として広く出回りました。現在は多くの人に周知され、シロミルが別名にもなっている。現在では、ミルクイを『本ミル』、ナミガイを『白ミル』と呼び分けています」

 さて、ここで問題です。「黒トリ貝」と「白トリ貝」は、どちらが本物でしょうか。回転ずし店の商品担当者が明かす。

「両方とも似たような二枚貝ですが、『白トリ貝』は、エゾイシカゲガイという貝で、石垣貝とも呼ばれます。昔からトリ貝と呼ばれている“本物”は、白トリ貝と区別するために、近年から『黒トリ貝』と呼ばれるようになりました」

 夏休み真っ盛り、家族で回転ずし店を訪れる機会も多くなる。レーンに流れる1皿1皿を、じっくり吟味してみてはいかがだろうか。

※女性セブン2019年8月22・29日号

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