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2019.08.14 10:42  産経ニュース

機運しぼんだサマータイム、役割終えたのか 人件費削減などで効果も

機運しぼんだサマータイム、役割終えたのか 人件費削減などで効果も

 夏の就業時間を繰り上げるサマータイム(夏時間)。残業時間の削減などで成果をあげる企業がある一方、フレックスタイムや、自宅など社外で作業するテレワークなどより柔軟な勤務体系を取り入れる動きも進んでいる。政府の「働き方改革」を背景に、働き方をめぐる企業の制度が多様化し、サマータイムの評価も変化しつつある。

■仕事みんなで分担

 8月1日夜、みなと銀行の神戸駅前支店(神戸市中央区)が入居するビルの1室。行員約20人がファイナンシャル・プランニング技能検定の模擬試験に取り組んでいた。同日から始まったサマータイムに合わせ、希望者に終業後の空き時間を有効に使ってもらおうという企画だ。30代の男性は「仕事が早く終わる分、勉強に役立てられる」などと話す。

 みなと銀は平成23年にサマータイムを導入。8月は就業時間を午前8時10分~午後4時半と通常より30分早めている。導入当初は時間内に仕事が終わるか、サービスが低下しないかなど不安視する声もあったが「誰かに仕事がたまっていればみんなで分担するムードがある」(20代女性)など行員の意識が変化。終業後の時間は、ジョギングなどの趣味や他部署との懇親会に活用できるなど好評という。

 昨年の平均退社時間は午後5時半と、取り組み前の22年と比べ約1時間半短縮。約3000万円の人件費削減につながるなどの効果も出ている。小笠原貴生・常務執行役員は「会社側が仕組みを作ることで意識改革ができている」と手応えを話す。

■「意義が薄れた」

 サマータイムをめぐっては昨年、自民党が2020年東京五輪・パラリンピックに向けて国全体での導入を検討し、注目を集めた。ただ、広範な分野でシステムを改修する必要があり、導入は見送りに。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「すっかり機運はしぼんだ」とみる。

 サマータイムをやめる企業も出てきた。26年に導入した池田泉州銀行は、今年は実施を取りやめた。サマータイムでは退社時間が繰り上がるとはいえ、勤務時間は全員一律。子育て中の従業員などでは、勤務時間を短縮する「時短」や自宅などで働く「テレワーク」のニーズが高まっており、こうした取り組みを強化する。「働き方が多様化しており、一律に就業時間を変更する意義が薄れた」とする。

 アシックスは29年に、サマータイムと、始業・終業時間を自由に決められる「フレックスタイム制度」を導入。ただ今年はサマータイムを廃止し、勤務時間帯を完全に自由にする「フルフレックスタイム制度」に完全移行した。同社は「サマータイムで勤務時間をしばるより、自律的な働き方に重点を置いた」という。

■働き方見直しの契機

 永浜氏は「サマータイムの導入を検討する会社は、メリットとデメリットをよく考慮すべきだ」と指摘する。一方で、「サマータイムを始めたことで現在の時短勤務やテレワークなどにつながった」(池田泉州銀)など、企業にとってはサマータイムが働き方見直しの契機になったともいえる。多様な働き方を求め、企業の模索は続きそうだ。(岡本祐大)

    ◇  ◇

 【用語解説】サマータイム

 夏場に企業などで勤務時間を1~2時間繰り上げる試み。酷暑対策や、終業後の時間の有効活用などにつながるとされる。国内では平成23年の東日本大震災後、節電を目的に一部企業が取り入れ、広がった。欧米などでは国や地域全体で取り入れる例も少なくない。2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として日本でも導入が検討された。

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