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2019.08.14 16:00  マネーポストWEB

飲食店激戦区のとあるバー、ダメ店主を救った救世主のような客

ダメ店主を経営の危機を救ってくれた常連客とは?(イメージ)

 飲食店業界はとにかく競争が激しい世界。「若者のお酒離れ」が進み、不景気も続く今、とりわけ商売が難しいのが「バー」ではないだろうか。しかし、立地的にも不利な条件にあるバーが、長く営業を続けている例は少なくない。

例えば、都内の某繁華街にあるバー『R』は、「飲食店の超激戦区」「雑居ビルの2階の奥まった場所」「外から店内が一切見えない」「店主は強面」など、不利な条件を多数抱えながら、すでにお店は7年目を迎えたという。

 店主のTさんは現在30代。学生時代にバーでバイトをするうちに、自分の店を持ちたいという夢を抱き、大学卒業後もそのままバイトとして働き続け、6年前にようやく独立を果たした。オープンしたのは修業先から徒歩数分の場所。オープン当初の客は、修業先の常連ばかりだった。オープン時からRに通うYさんがいう。

「オープンしたばかりの頃は、元バイト先の店長が『Tが近所に店を開けたから、良かったら行ってやって欲しい』と常連に宣伝し、順調なスタートを切りました。しかしTは、知り合いが来ると、一緒にチョビチョビと飲み始めてしまい、酔っ払って勘定が適当になってしまうような愛すべきダメ男です。あっという間に経営状況はマズいことになりました」(Yさん。以下「」内同)

 ほどなく元バイト先では、「Rがいつ潰れるか」が酒の肴になり、“Xデー”の到来も間近かと思われたが、Tさんの適当さが逆に人を呼び込むことになる。

「Tは細かいことをゴチャゴチャと言わない男で、誰かが誕生日のケーキを持ち込めば、黙って皿とフォークを出してくれますし、『店でDVDが見たい』と言えば、BGMを消して店内のモニターで流してくれます。大人数で長居をしても、席に余裕があれば一切何も言いません。そういった居心地の良さが好まれるようになり、とりあえず閉店の危機は脱しました」

 店自体は入りにくい雰囲気だが、店があるのは都内を代表する繁華街。数少ない常連たちが「近くに行ったら『R』って店に寄ってやってくれ」と、盛んにサポートするなか、Tさんはある日、“大魚”を捕まえる。

「常連になった客の中にバリバリの元高校球児がいて、3日とおかずに店にやって来る彼を中心に、常連やその友人で草野球チームができたのです。中心メンバーはその店の常連客ですから、ミーティングや試合後の打ち上げは必ずRでやりますし、対戦相手のチームのメンバーを連れてきたこともあります。

 Tは野球に興味はなく、チームには入っていませんが、常連たちがチームの細々とした荷物をどこに置くかで揉めていると、『ウチに置けば良いじゃん』と、誰もが密かに期待していたことをサラリと言い、さらに荷物の出し入れ用に、キャプテンに店の合鍵まで渡しました。もう、みんな大感激です」

 Tさんは今でも「経営が苦しい」「もっとじゃんじゃん飲んで下さい」などと言っているそうだが、Facebookに投稿された愛車がなかなかの高級車なのを見ると、とりあえず閉店の危機は脱したよう。ルーズな性格が逆に上手くいく理由になることもあるようだ。

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