これと同時に発生しているのが、河野太郎外務大臣と世耕弘成経済産業大臣への評価の爆上がりである。これまで韓国に対しては「遺憾砲」(「遺憾だ」と繰り返す日本外交を揶揄するネット用語)を撃つばかりの閣僚が目立ったが、2人は韓国が何を言おうが日本の立場を淡々と説明するだけ。その様子は冷徹にも見えるが、この姿勢が絶賛されているのである。特に世耕氏は、韓国が何かを発表した時や、国際会議で日本を非難した時にツイッターで反論する点が評価されている。会議場では韓国が参加国から相手にされていなかったことも暴露するほどである。

 通常、ネットでは政治家に対しては批判ばかりが寄せられるものだが、今回の2人に対する評価は珍しい。一方、6月、シンガポールで岩屋毅防衛相が韓国の鄭景斗国防相と会談をしたり、満面の笑みで握手をする様子が報じられたところ、同氏叩きが高まった。身内の自民党議員からも批判が出たほか、ネット上では岩屋氏罷免論まで出ている。「韓国に厳しい姿勢を見せれば評価が上がる」という手法が今後蔓延し、議員の間でブームになるかもしれない。それはそれでやり過ぎだろう。

 この1か月半以上、果たして誰が勝利したのかといえば、ウェブメディアだ。何しろ韓国関連の話題が盛り上がり過ぎて軒並みPVが上がっているのである。特に、中央日報や朝鮮日報の日本語版は常にヤフー等配信先ニュースサイトでアクセス上位を獲得し続けている。

 ヤフーニュースのコメント欄とツイッターでは、韓国関連の話題が燃え上がる。右派系のまとめサイトも韓国を見下す意見を抽出し、面白がっている。元々ネットでは「嫌韓」があったが、その後は「呆韓」に続き、「拒韓」へ。今は「哀韓」(韓国を哀れむこと)、「嗤韓(しかん)」(韓国を嗤う)状態になったのでは。

●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など。

※週刊ポスト2019年8月30日号

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