『監察医 朝顔』をこれら3つの必勝エッセンスを盛り込んだハイブリッドな作品に仕上げたのは、金城綾香プロデューサー。ネット反響狙いで極端な悪役や急展開に頼る作品が多く、さらに月9と言えば、いまだに明るさやノリのよさをイメージする人も多い中、あえて静かなトーンでまとめたことも含め、異色のプロデュースと言えます。
フジテレビのドラマプロデューサーの中では、若く女性である金城さんが成功を収めたことで、3つの必勝エッセンスは今後月9の新たな成功法則として、いくつかの作品で踏襲されていくのではないでしょうか。
わずか一年前まで、何度となく打ち切りの噂が流れていたのは、もはや過去の話。苦しい時期に打ち切らずに試行錯誤を続けたことで若い芽が育ち、『監察医 朝顔』で見事に実を結んだのです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。
撮影/矢口和也