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なぜ、ネットニュースは見出しが大げさなのか?

「今の世の中に言いたいこと、ぶちまけます」と題するイベントを行った嶋浩一郎さん、山田詠美さん、中川淳一郎さん(左から)

 8月5日、東京・下北沢の本屋B&Bで、作家・山田詠美さんと、ネットニュース編集者の中川淳一郎さん、そして中川さんの元上司である博報堂ケトルの嶋浩一郎さんによるトークイベントが開催された。依頼に応えて実現した一夜限りのこのイベントは、題して「今の世の中に言いたいこと、ぶちまけます」。2時間にわたる鼎談の中で、「なっとらん、ドーン!」と机を叩いた事柄とは? ウェブメディアの「見出し」問題について語り合った。

◆ネットニュースは大げさ?

中川:『女性セブン』で連載中の「日々甘露苦露」は僕も読んでいますが、山田さんのエッセイって怒ってるネタが結構多いですよね。

山田:ああ~、そうかも。

嶋:その着眼点はさすがネットの編集者だよね。ネットの記事のPV(ページビュー)数が多いのって喜怒哀楽の中でも圧倒的に「怒」。読んで怒りたくなる記事が多いんですよ。

山田:聞きたかったんだけど、ネットのニュースって何で見出しがあんなに大げさなの? 全然たいしたことない出来事にでも、激怒・歓喜・絶賛といった言葉がしょっちゅう使われますよね。「切った前髪をファン絶賛!」とか(笑い)。私、歓喜なんて言葉、小説でも使ったことないですよ。

中川:それはですね、そういう大げさな言葉を使わないと理解できない読者が日本には4200万人ほどいるからなんです。「すごい」よりちょっと難しい漢字くらいがちょうどいい。

嶋:だから「○○○○○(某大物芸能人)激怒!」という見出しの記事がいちばんPVを取れてしまう。

山田:なるほど。わかりました。

中川:その仕事をしているだけに、ちょっと痛いところ突かれましたが(苦笑)、逆に山田さんはSNSになぜ興味がないんですか?

山田:別に、楽しく使っている人はいいんですよ、全然。うちの妹も夢中になってるし。でも「日々甘露苦露」にも書きましたが、幸せ自慢をするためだけにいちいち書き込む人って、実はあんまり幸せじゃないんだろうな、とは思っていますね。

中川:辻希美とか幸せ自慢をずっと書きまくってますけど?

山田:辻希美さんは実際幸せだからいいんじゃないの? 私、旦那さんの杉浦太陽くんも好きですよ。

中川:彼らのブログの月収、すごいですよ。××万円くらいは軽くいってると思います。(場内驚愕)

山田:へえ。でもお金が人を幸せにするわけじゃないからね。ただ、不特定多数の人にアピールしなきゃいけない幸せは、幸せじゃないだろうなと私は思っているだけです。

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