とりわけ深刻な影響を与えるのは、韓国経済の屋台骨を支える「半導体」への輸出管理強化である。元在韓国特命全権大使で外交経済評論家の武藤正敏氏が指摘する。
「輸出立国の韓国の中でも半導体は輸出の20%を占める基幹事業です。ところが日本が最初に輸出規制を強化した3品目は半導体を製造するのに欠かせない部品で、これらの受注が滞ればサムスンのスマホやLGのテレビの生産ラインに影響する可能性がある。今後、日韓の対立がより激化して、経済的な締めつけが厳しくなり半導体事業が停滞すれば、韓国経済は致命的な打撃を受けかねません」
◆日本製部品の替わりはない
8月上旬には、サムスン電子がベルギーから半導体材料の代替ルートを確保したと報じられたが、北海道大学国際政治学教授で日本安全保障貿易学会会長の鈴木一人氏は、「日本製品の代替は難しい」と指摘する。
「韓国は3品目のうちレジスト、フッ化ポリイミドの9割強、フッ化水素の4割強を日本から調達しています。日本製品は非常に品質が高く、フッ化水素で純度99.999999%の最高級品を作れるのは日本だけ。高品質の部品は簡単に代替できず、品質を落とせば製品の質も落ちる。今後も韓国企業は代替品の安定確保に苦しむでしょう」
韓国経済の致命傷となり得るのは半導体だけでない。