一方胸部の下着は、1889年、フランス人女性・エルミニー・カドルが、コルセットを腰とバストの部分で分割・独立させた下着を開発する。また1914年にはアメリカ人女性のメアリー・フェルプス・ジェイコブがコルセットに替わるものとして特許を取得した、「BRASSIERE(ブラジャー)」が誕生した。第一次世界大戦の時期において女性も貴重な労働力とみなされ社会に進出。女性の下着は動きを補佐する役目を求められ、ブラジャーは一般に普及した。
「ズボン状の下着」としてスタートしたパンティの系譜は、足首丈から、膝丈と徐々に面積を小さくしていき、1938年頃に子供の下着だった「プチ・バトー」という短いパンティが大人の間にも広がりを見せ、現在までショーツとして使用されている。複雑な仕組みの窮屈な下着の時代は、ブラジャーとパンティの登場によって終わりを迎えるのだった。
◆取材・文/山田鍵
※週刊ポスト2019年9月13日号