ビジネス

アマゾン物流センターで死亡事故続発 だが責任の所在は曖昧

アマゾン倉庫には光の当たらない部分がある(写真/共同通信社)

 日本市場を制圧した“巨大企業”の内実に迫るべく、「東京ドーム4個分」の広さを誇る小田原物流センターに潜入したジャーナリストの横田増生氏は、アマゾンの正社員・西川正明(仮名)からの情報提供により、センター内でアルバイト死亡事故が続発していたことを知った。2017年10月、著者が働く直前にも、女性アルバイトの内田里香(仮名・享年59)が作業中に倒れ、くも膜下出血で亡くなっていた。潜入取材を進めるなかで、他にも死亡事故が続いて起きていたことが分かった。なぜ、死亡事故が続発するのかについて、横田氏がレポートする。なお、横田氏は15年前にも潜入を経験している。

 * * *
 内田の取材を続けていたころ、小田原の物流センターをめぐる新たなニュースが私の耳に飛び込んできた。2017年11月中旬にも、物流センター内で作業中の男性アルバイトが倒れて亡くなったのだという。内田が亡くなってから1か月後のことだ。ピッキング(商品を指示書通りに仕分けする)を担当する中原純子(仮名)はこう話す。

「11月18日の午後4時半ごろ、4階でピッキングの作業をしていたら、ハンディー端末の画面に作業を一旦停止するという表示が出たんで、その間はすることもないんで顔見知りのワーカーさんと立ち話をしていたんです。そしたら、近くで人が倒れているっていうんで、見に行ったの。顔を見たら、冬場でも上はTシャツ一枚で作業している人だ、とわかりました。

 体格のいい方で奥さんと一緒に働きにきていたので、よく覚えていました。私が気づいたのが、4時40分ごろだったかな。そこにはリーダーがいて携帯電話で電話していました。すると、(物流センターを仕切る下請けの派遣会社)ワールドインテックの上の人がきて、そのあとで“アマゾン様(アルバイトはアマゾン社員をこう呼ぶ)”が2人来たのね。1階に救急車が来たのに気づいたのは、2階のパソコンで退勤を押した後だったので、5時15分か20分ぐらいだったと思います」

 亡くなったのは北島正人(仮名)だった。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン