ライフ

出版界の「POP王」が室井滋の新作エッセイ集を絶賛

女性セブン連載などから厳選した、珍道中を綴るエッセイ67本収録

女性セブン連載などから厳選した、珍道中を綴るエッセイ67本収録

【書評】『ヤットコスットコ女旅』/室井滋・著/小学館/1200円+税
【評者】内田剛/三省堂書店有楽町店副店長。1969年生まれ。NPO法人本屋大賞実行委員会理事で設立メンバーのひとり。出版業界でベストセラーの仕掛け人として知られ、これまでに作成したPOPの枚数は5000枚以上。「POP王」の異名を持つ。

 こんなに幸せ気分にさせてくれる本は珍しい。〇〇〇ルーペを使わなくても字が大きくて読みやすさ抜群だし、医薬部外品ではあるがこの軽妙さに腰痛が一時和らいだほど(あくまで個人の感想です)。読むビタミン剤とも言える本書から伝わるのは、やっぱりムロイさんはとんでもなくオモロイということだ。

「旅は道連れ世は情け、足は靴擦れ夜はお酒」とは誰が言ったか忘れてしまったがそんな軽口もつい出てしまうほど問答無用に楽しめて、風呂場でもないのに鼻歌(BGMはCDアルバム『8つの宝箱~いとしの毛玉ちゃん~』より)が漏れてしまうくらい愉快痛快爽快な気分に包まれた(逆に電車の中や病院など静かな公共の場所で読む時には細心の注意が必要である)。

 旅は人生に例えられるが確かにその道中は思いがけないことの連続だ。誘惑あれば迷惑もある。テンションも激しく揺れ動く乱気流状態。しかしサプライズの数だけ旅が魅力的になるのも真実である。すっかりオバサンになったとは言っても元気ハツラツ。ムロイさんの旅も、時には見てはいけないものを見てしまったり、壮絶な神秘体験にドキドキハラハラヒヤヒヤしたりと、もちろん予想外の出来事に満ちている。

 いい意味でミーハー的な好奇心旺盛さで“何かがある”オーラに果敢に近寄り、さらにそのお人柄の良さがあらゆる人種と現象までをも油断させて引き寄せているのだろう。止まらない地元・富山愛にソフトクリームラブもご愛敬。電車の車内アナウンスに面白がるこの気づきはもっと世界を平和にさせるはずである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン