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2019.09.11 15:00  マネーポストWEB

SNSで守秘義務違反、「個人が取引先に罰金500万円」は有効か

違約金付きの守秘義務念書は有効か

 ネットやSNSがこれだけ一般的になった今、ビジネスの世界において「守秘義務違反」は大きなリスクとなっている。広告代理店と契約をした映画製作会社が「守秘義務違反したら罰金500万円」という罰則を設けた場合、これは有効なのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 広告代理店に入社したての若造です。先日、大作映画の宣伝に携わったのですが、映画製作会社より守秘義務違反を犯した場合「罰金500万円を支払う」という書類にサインを強要されました。いくらなんでも、映画の内容を外部に漏らしたぐらいで500万円は高過ぎますし、法的にも間違っていませんか。

【回答】
 映画製作会社が広告発注先の広告代理店の従業員個人から、直接違約金付きの守秘義務念書を取り付けたとのこと。このケースにおいては、映画製作会社と広告代理店の会社同士で守秘義務契約を締結し、これを受けて特に必要な場合に、代理店が従業員に守秘義務を誓約する文書を差し入れさせるのが、正常な有り方のように思います。

 その場合であれば、会社は守秘義務違反の罰金を定めることはできません。労働基準法で「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と規定されているからです。

 あらかじめ決めておけるのは、就業規則で義務不履行への懲戒として「減給」を定めることだけであり、その場合であっても、減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額以下、月給制なら1か月の総額が月額の10分の1以下までとなります。もっとも違約罰の定め等が無効でも、労働者に故意や過失が認められ、会社に損害をかけた場合には、実損害額に基づく応分の賠償義務を負うことにはなります。

 あなたが差し入れたのは勤務先ではないので、映画会社から直接指揮命令を受けるなど実質的に雇用関係にあると認められる場合以外、その守秘義務違反の罰金合意には労働基準法は適用されません。それでも500万円は破格であり、勤務先の広告代理店であればともかく、一労働者に負担させるのは疑問です。大切な顧客で断われないことを利用した、優越的地位の濫用のように思います。

 仮に守秘義務違反があっても、損害が明確でなく些少な場合、この罰金合意に基づく500万円の賠償請求は権利の濫用になるでしょう。また、そもそも雇い主である広告代理店が引き受ける責任です。会社に相談し、罰金条項の解消を求めてはいかがでしょうか。

※週刊ポスト2019年9月13日号

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